古典和歌stream

更級日記 - 菅原孝標女

都には待つらむものをほととぎす
けふ日ねもすに鳴き暮らすかな

都では今ごろ待ちわびているだろうに。ほととぎすは、ここでは今日一日中鳴き暮らしていることだ。

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更級日記

山ふかくたれか思ひはおこすべき
月見る人は多からめども

山深いこの場所にいる私たちのことを、誰が思いを寄せてくれるだろうか。月を見る人は多いだろうけれども。

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更級日記 - 菅原孝標女

深き夜に月見るをりは知らねども
まづ山里ぞ思ひやらるる

夜が更けてから月を見るときには、山里の暮らしは知らないとしても、まず山里のことが自然と思いやられるものだ。

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更級日記 - 菅原孝標女

秋の夜のつま恋ひかぬる鹿の音は
遠山にこそ聞くべかりけれ

秋の夜に、妻を恋い慕う思いをこらえきれずに鳴く鹿の声は、遠い山に聞くべきものだったのだなあ。

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更級日記 - 菅原孝標女

まだ人め知らぬ山辺の松風も
音して帰るものとこそ聞け

まだ人目にも知られていない山辺の松風でさえ、音を立てて帰るものだと聞いている。それなのに、あなたは音沙汰もなく帰ってしまった。

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更級日記 - 菅原孝標女

思ひ知る人に見せばや山里の
秋の夜ふかき有明の月

ものの情趣をわきまえた人に見せたいものだ。この山里の、秋の夜も更けたころの有明の月を。

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更級日記 - 菅原孝標女

苗代の水かげばかり見えし田の
かりはつるまで長居にしけり

苗代の水の照り映えるさまばかりが見えていたあの田が、すっかり刈り入れを終えるまで、長居をしてしまったことだ。

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更級日記 - 菅原孝標女

水さへぞすみたえにける木の葉散る
嵐の山の心ぼそさに

水までもが澄まなくなり、流れることをやめてしまった。木の葉を散らす嵐の吹くこの山の、心細さのために。

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更級日記 - 菅原孝標女

契りおきし花のさかりをつげぬかな
春やまだ来ぬ花やにほはぬ

約束しておいた花の盛りを、お知らせくださらないのですね。春がまだ来ないのでしょうか。それとも花がまだ咲かないのでしょうか。

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更級日記 - 菅原孝標女

竹の葉のそよぐよごとに寝ざめして
なにともなきにものぞ悲しき

竹の葉がそよぐたびに、また夜ごとに目が覚めて、これといった理由もないのに、なんとなく悲しい。

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更級日記 - 菅原孝標女

いづことも露のあはれはわかれじを
浅茅が原の秋ぞ悲しき

どこであっても、露のもたらすしみじみとした趣に変わりはあるまいのに、あの浅茅が原の秋こそが悲しく思われる。

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更級日記

あさくらや今は雲居に聞くものを
なほ木のまろが名のりをやする

朝倉の――今はもう宮中の人としてお名前を聞いているのに、それでもなお、木の丸殿の昔のように名のりをなさるのですか。

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更級日記 - 菅原孝標

思ふこと心にかなふ身なりせば
秋の別れを深く知らまし

願うことが思いどおりになる身であったなら、この秋の別れをもっと深く味わい知ることもできただろうに。

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更級日記 - 菅原孝標女

かけてこそ思はざりしかこの世にて
しばしも君に別るべしとは

少しも思わなかった。この世で、ほんのしばらくのあいだでも、あなたと別れることになろうとは。

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更級日記

千ぐさなる心ならひに秋の野の
花見に行くと君を見るかな

さまざまな花に心を移す、あなたのふだんの心ぐせから、秋の野に花見に行くのだと、私のことをご覧になるのですね。

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更級日記 - 菅原孝標女

秋をいかに思ひいづらむ冬深み
嵐にまどふ荻の枯葉は

秋のころをどんなふうに思い出しているだろう。冬が深いので、嵐に吹かれて乱れる、荻の枯葉は。

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