古典和歌stream

更級日記

今宵より後の命のもしもあらば
さは春の夜を形見と思はむ

今宵より後の命がもしもあるならば、それでは、この春の夜を形見と思おう。

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更級日記

人はみな春に心をよせつめり
われのみや見む秋の夜の月

人はみな春に心を寄せてしまったようだ。私ひとりだけが見ることになるのだろうか、秋の夜の月を。

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更級日記 - 菅原孝標女

なにさまで思ひいでけむなほざりの
この葉にかけし時雨ばかりを

どうしてそれほどまでに思い出しなさったのだろう。いいかげんに木の葉に降りかかっただけの、あの時雨ばかりを。

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更級日記

かしまみて鳴戸の浦にこがれ出づる
心はえきや磯のあま人

加島を目印に見定めて鳴戸の浦へ漕ぎ出すように、あなたに焦がれて出て行ったこの心を、お分かりになりましたか、磯の海人よ。

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更級日記 - 菅原孝標女

逢坂の関のせき風吹く声は
昔聞きしに変はらざりけり

逢坂の関を吹く関風の音は、昔聞いたのと変わらないのだなあ。

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更級日記 - 菅原孝標女

音にのみ聞きわたり来し宇治川の
網代の波も今日ぞかぞふる

噂にばかり聞き渡ってきた宇治川の、その網代の波も、今日はこうしてこの目で数えることだ。

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更級日記 - 菅原孝標女

奥山の紅葉の錦ほかよりも
いかにしぐれて深く染めけむ

奥山の紅葉の錦は、ほかの所よりも、いったいどれほど時雨に降られて、これほど深く染まったのだろう。

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更級日記 - 菅原孝標女

谷川の流れは雨と聞こゆれど
ほかよりけなる有明の月

谷川の流れの音は雨と聞こえたけれど、ほかで見るのとは格別にすぐれた有明の月であることよ。

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更級日記 - 菅原孝標女

初瀬川たちかへりつつ訪ぬれば
杉のしるしもこのたびや見む

初瀬川の波が立ち返るように、たびたび立ち返って訪ねて来たのだから、あの杉のしるしも、このたびは見ることができるだろうか。

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更級日記 - 菅原孝標女

ゆくへなき旅の空にもおくれぬは
都にて見し有明の月

あてどのない旅の空でも遅れずについて来るのは、都で見たあの有明の月であることよ。

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更級日記 - 菅原孝標女

絶えざりし思ひも今は絶えにけり
越のわたりの雪の深さに

絶えることのなかった思いも、今は絶えてしまった。越のあたりの雪の深さに埋もれて。

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更級日記

白山の雪の下なるさざれ石の
中の思ひは消えむものかは

白山の雪の下にあるさざれ石、その中の思いの火は、消えたりするものでしょうか。

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更級日記 - 菅原孝標女

里遠みあまり奥なる山路には
花見にとても人来ざりけり

里から遠いので、あまりに奥深いこの山路には、花見にといっても人が来ないことだ。

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更級日記 - 菅原孝標女

しげかりしうき世のことも忘られず
入相の鐘の心ぼそさに

わずらわしいことの多かった、つらいこの世のことも忘れられない。入相の鐘の音の心細さに。

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更級日記 - 菅原孝標女

袖ぬるる荒磯浪と知りながら
ともにかづきをせしぞ恋しき

袖が濡れる荒磯の波だと知りながら、ともに潜ったあのことが恋しく思われる。

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更級日記

荒磯はあされど何のかひなくて
うしほに濡るる海人の袖かな

荒磯はいくら漁っても何の貝もなく、何の甲斐もなくて、潮に濡れるばかりの海人の袖であることよ。

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