古今和歌集 - 凡河内みつね
道を知っていれば訪ねて行くだろう、紅葉を幣と手向けて秋は去ってしまった。
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古今和歌集 - よみ人しらず
竜田川は錦を織ってかけている。十月に降るしぐれ雨を縦糸と横糸にして。
古今和歌集 - 源むねゆきの朝臣
山里は冬になると寂しさが増してくる、人も訪れず草も枯れると思えば。
大空の月の光が清らかなので、その影を見た水が最初に凍った。
夕方になると袖まで寒いことだ。吉野の山に雪が降っているのだろう。
これからは降り続いてほしいものだ。我が家の庭のすすきを押し伏せて降る白雪は。
降る雪はすぐに消えているのだろう。山中の急流の川の音がいっそう増している。
この川に散った紅葉が流れている。奥山の雪解けの水が今頃、増したようだ。
ふるさとは吉野山に近いので一日も雪の降らない日はない。
私の家は、一面に雪が降り敷いて道もない。雪を踏み分けて訪れる人もいないので。
古今和歌集 - 紀貫之
雪が降ったので、冬ごもりをしている草木も春には見られない花が咲いていることだ。
古今和歌集 - 紀秋岑
白雪が場所を選ばず降り敷いたので、巌(いわお)にも花が咲いているように見える。
古今和歌集 - 坂上是則
吉野の山では雪がつもっているのだろう。古い奈良の都でも寒さがましている。
古今和歌集 - 藤原おきかぜ
海岸近くに降ってくる雪は、白波が末の松山を越えるのではないかと見える。
古今和歌集 - みぶのただみね
吉野の山に雪を踏み分けて入っていった人から便りがない。
雪が降り積もった山里はそこに住む人さえ雪と同じように消え入る思いがしているのだろうか。