古典和歌stream

大和物語

つかのまももろともにとぞ契りける
あふとは人に見えぬものから

つかのまでも一緒にいようと約束したのだ。逢っているとは人に見えないものだけれど。

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大和物語

かちまけもなくてや果てむ君により
思ひくらぶの山はこゆとも

勝ち負けもないままに果てるのだろうか。あなたゆえに、思いを比べるという比良の山は越えたけれど。

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大和物語

あふことのかたみに恋ふるなよ竹の
たちわづらふと聞くぞ悲しき

逢うことを互いに恋い慕って、なよ竹のように立ちわずらっていると聞くのが悲しい。

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大和物語

身を投げてあはむと人に契らねど
うき身は水に影をならべつ

身を投げて逢おうと約束したわけではないけれど、憂き身は水に姿を並べてしまった。

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大和物語

おなじえにすむはうれしきなかなれど
などわれとのみ契らざりけむ

同じ江に住むのはうれしい仲ではあるけれど、どうして私とだけ約束してくれなかったのだろう。

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大和物語

うかりけるわが水底をおほかたは
かかる契りのなからましかば

憂きことであった私の水底よ。そもそも、このような約束などなかったならばよかったのに。

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大和物語

われとのみ契らずながらおなじえに
すむはうれしきみぎはとぞ思ふ

私とだけ約束したのではないけれど、同じ江に住むのはうれしい水際だと思う。

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大和物語

ひとりしていかにせましとわびつれば
そよとも前の荻ぞこたふる

ひとりでどうしたらよいのだろうと途方に暮れていると、そうよとでも言うように、前の荻がそよいで答えるのだった。

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大和物語

君なくてあしかりけりと思ふにも
いとど難波の浦ぞすみ憂き

あなたがいなくてつらいと思うにつけても、いよいよ難波の浦は住みづらい。

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大和物語

あしからじとてこそ人のわかれけめ
なにか難波の浦もすみ憂き

悪くはなるまいと思えばこそ人は別れたのでしょう。どうして難波の浦が住みづらいなどと言うのですか。

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大和物語

風吹けば沖つしら波たつた山
夜半にや君がひとり越ゆらむ

風が吹けば沖の白波が立つ、その竜田山を、夜半にあなたはひとりで越えているのだろうか。

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大和物語

わぎもこがねくたれ髪を猿沢の
池の玉藻と見るぞかなしき

あの子の寝乱れた髪を、猿沢の池の玉藻として見るのが悲しい。

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大和物語

猿沢の池もつらしなわぎもこが
玉藻かづかば水ぞひなまし

猿沢の池も薄情なことだ。あの子が玉藻をかぶって沈んだのなら、水も涸れてしまえばよかったのに。

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大和物語

たつた川もみぢ葉流る神なびの
みむろの山にしぐれ降るらし

竜田川に紅葉した葉が流れている。神なびのみむろの山に時雨が降っているらしい。

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大和物語

たつた川もみぢみだれて流るめり
わたらば錦なかや絶えなむ

竜田川に紅葉が乱れて流れているようだ。渡ったなら、その錦は途中で断ち切れてしまうだろうか。

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大和物語

いはで思ふぞ
言ふにまされる

言わずに思っていることは、口に出して言うのに勝っている。

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