古典和歌stream

大和物語

白雲のこのかたにしもおりゐるは
天つ風こそ吹きてきつらし

白雲がこちらの方に下りているのは、天の風が吹き寄せてきたからにちがいない。

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大和物語

思ふらむ心のうちは知らねども
泣くを見るこそ悲しかりけれ

何を思っているのか、その心のうちは分からないけれど、泣くのを見るのこそ悲しいことだ。

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大和物語

あかでのみ経ればなるべしあはぬ夜も
あふ夜も人をあはれとぞ思ふ

飽き足りないままに過ごしているからだろう。逢わない夜も逢う夜も、お前をいとしいと思う。

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大和物語

焚きもののくゆる心はありしかど
ひとりはたえて寝られざりけり

焚きもののように燻る、悔いる心はあったけれど、ひとりではまるで寝られないのだった。

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大和物語

さわぐなるうちにも物は思ふなり
我がつれづれをなににたとへむ

忙しく騒いでいるうちにも物思いはするものらしい。それなら私のこの所在なさを、何にたとえたらよいのだろう。

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大和物語

かりにのみ来る君待つとふりいでつつ
なくしが山は秋ぞかなしき

仮にばかり来るあなたを待つと、声を振り出しては鳴く、その志賀山は、秋こそ悲しい。

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大和物語

かくれ沼の底のした草み隠れて
知られぬ恋はくるしかりけり

隠れ沼の底の下草が身を隠すように、人に知られない恋は苦しいものだった。

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大和物語

み隠れに隠るばかりのした草は
長からじとも思ほゆるかな

身を隠すのに隠れるだけの下草では、長くはあるまいとも思われることだ。

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大和物語

人をとくあくた川てふ津の国の
なにはたがはぬ君にぞありける

人を早くも飽きるという、津の国の芥川。その名に違わないあなたであったのだ。

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大和物語

来ぬ人をまつの葉に降るしら雪の
消えこそかへれあはぬ思ひに

来ない人を待つ、その松の葉に降る白雪は、逢えない思いの火に、消え返るばかりだ。

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大和物語

敷きかへずありしながらに草枕
塵のみぞゐるはらふ人なみ

敷き替えもせず、あのままにしてある草枕には、塵ばかりが積もっている。払う人がいないので。

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大和物語

草枕塵はらひにはからころも
たもとゆたかに裁つを待てかし

草枕の塵を払うには、唐衣の袂をゆったりと裁つのを待っていてほしい。

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大和物語

からころも裁つを待つ間のほどこそは
我がしきたへの塵もつもらめ

唐衣を裁つのを待つあいだにこそ、私の敷妙の塵も積もることでしょう。

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大和物語

み狩する栗駒山の鹿よりも
ひとり寝る身ぞわびしかりける

狩をする栗駒山の鹿よりも、ひとりで寝る我が身のほうが侘しいのだった。

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大和物語

夜半にいでて月だに見ずは逢ふことを
知らず顔にも言はましものを

夜中に出かけても、月さえ見ていなければ、逢っていることを知らぬ顔で言い通せただろうに。

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大和物語

花すすき君がかたにぞなびくめる
おもはぬ山の風は吹けども

花すすきは、あなたの方にこそ靡いているようです。思いもよらぬ山の方から風は吹きますけれど。

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