古典和歌stream

大和物語

植ゑし植ゑば秋なき時や咲かざらむ
花こそ散らめ根さへ枯れめや

きちんと植えたなら、秋のない時にこそ咲かないだろう。花は散るとしても、根まで枯れることがあろうか。

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大和物語

あやめ刈り君は沼にぞまどひける
われは野にいでてかるぞわびしき

菖蒲を刈るのに、あなたは沼で迷っておられたのだ。私は野に出て刈るのがつらい。

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大和物語

つれづれといとど心のわびしきに
今日はとはずてくらしてむとや

することもなくいよいよ心が侘しいのに、今日は見舞わずに過ごしてしまおうとお思いなのか。

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大和物語

つひにゆく道とはかねて聞きしかど
昨日今日とは思はざりしを

最後には行く道だとかねて聞いてはいたが、それが昨日今日のこととは思わなかったのに。

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大和物語

見ずもあらず見もせぬ人の恋しきは
あやなく今日やながめ暮らさむ

見ないでもなく、見たわけでもない人が恋しいのは、わけもなく今日は物思いに暮れることになるのだろうか。

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大和物語

見も見ずもたれと知りてか恋ひらるる
おぼつかなみの今日のながめや

見たとも見ないとも、誰と知って恋われるのでしょう。おぼつかない今日の物思いですこと。

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大和物語

いなやきじ人にならせるかりごろも
わが身にふれば憂きかもぞつく

いえ、着ますまい。人に着馴らさせた狩衣は、わが身に触れればつらい匂いがつくでしょうから。

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大和物語

人心うしみつ今は頼まじよ
夢に見ゆやとねぞ過ぎにける

人の心のつらさを見た。丑三つの今はもう頼みにするまい——夢に見えるかと、寝過ごしてしまったのだ。

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大和物語

皆人は花の衣になりぬなり
苔のたもとよ乾きだにせよ

人は皆、花の衣になったという。苔の袂よ、せめて乾いてくれ。

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大和物語

かぎりなき雲居のよそに別るとも
人を心に送らざらめや

限りなく遠い雲居のかなたに別れても、あなたを心に思い送らないことがあろうか。

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大和物語

岩の上に旅寝をすればいと寒し
苔の衣をわれに貸さなん

岩の上に旅寝をするのでたいそう寒い。苔の衣を私に貸してほしい。

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大和物語

世をそむく苔の衣はただ一重
かさねばうとしいざ二人寝ん

世に背いた苔の衣はただ一重。重ねなければ心もとない。さあ二人で寝よう。

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大和物語

折りつればたぶさにけがる立てながら
三世の仏に花奉る

折り取れば手に触れて汚れる。立たせたまま、三世の仏に花を奉る。

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大和物語

白雲の宿る峰にぞおくれぬる
思ひのほかにある世なりけり

白雲の宿る峰に取り残されてしまった。思いのほかにある世であったのだ。

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大和物語

青柳の糸ならねども春風の
吹けばかたよるわが身なりけり

青柳の糸ではないけれど、春風が吹けば片方に寄ってしまうわが身であった。

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大和物語

いささめに吹く風にやはなびくべき
野分すぐしし君にやはあらぬ

かりそめに吹く風になびいてよいものでしょうか。野分をやり過ごしたあなたではありませんか。

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