古典和歌stream

平家物語

雲の上に見しに変らぬ月影の
すむにつけても物ぞ悲しき

雲の上で見たのと変らない月の光が、澄んでいるにつけても、何とも悲しいことだ。

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平家物語

我が身こそ明石の浦に旅寝せめ
おなじ浪にもやどる月かな

我が身こそ明石の浦に旅寝することになったけれど、その同じ波にも、やはり月は宿っていることだ。

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平家物語

都をば今日をかぎりのせき水に
又逢坂のかげやうつさん

都を今日限りと思って離れ、この関の水に、再び逢坂で我が姿を映すことがあるだろうか。

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平家物語

せきかねて涙のかかるから衣
のちの形見にぬぎぞかえぬる

堰きとめかねて涙のかかる、この唐衣を、後の形見として脱ぎ替えることだ。

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平家物語

ぬぎかうる衣も今は何かせん
きょうを限りの形見と思えば

脱ぎ替えた衣も、今となっては何になろう。今日を限りの形見だと思えば。

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平家物語

帰りこんことはかた田に引く網の
目にもたまらぬ我が涙かな

帰って来ることは難い——その堅田で引く網の目に水が溜まらないように、目にも溜まらずこぼれ落ちる、私の涙であることよ。

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平家物語

郭公花たちばなの香をとめて
鳴くは昔の人ぞ恋しき

ほととぎすが花橘の香を求めて来て鳴くのは、昔の人が恋しいからなのだろうか。

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平家物語

岩根ふみ誰かはとわん楢の葉の
そよぐは鹿の渡るなりけり

岩根を踏み分けて、誰が訪ねてこようか。楢の葉がそよぐのは、鹿が渡っているのであった。

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平家物語

池水に汀の桜散り敷きて
波の花こそ盛りなりけれ

池の水に、汀の桜が散り敷いて、波の花こそが今を盛りであったことよ。

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平家物語

思いきや深山の奥に住居して
雲井の月をよそにみんとは

思いもしなかった。深山の奥に住まいして、雲居の月をよそながら見ることになろうとは。

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平家物語

此の頃はいつ習いてかわが心
大宮人の恋しかるらん

このごろは、いったいいつ習い覚えたのだろう、私の心が、大宮人を恋しく思うようになったのは。

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平家物語

いにしえも夢になりにし事なれば
柴のあみ戸もひさしからじな

昔のことも夢になってしまった事であるから、この柴の編み戸の暮らしも、長くは続くまい。

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平家物語

いにしえは月にたとえし君なれど
その光なき深山辺の里

昔は月にたとえた君であったが、いまはその光もない、深山のほとりの里であることよ。

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平家物語

いざさらば涙くらべん郭公
われも憂き世に音をのみぞなく

さあそれでは、涙を比べよう、ほととぎすよ。私もこの憂き世で、声をあげて泣いてばかりいるのだから。

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