古典和歌stream

平家物語

たちかへるなごりもありの浦なれば
神もめぐみをかくる白浪

立ち帰るにも名残がある、その名も有の浦なのだから、神も恵みをかけて、こうして白波をかけてくださるのだろう。

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平家物語

千とせへん君がよはひに藤なみの
松のえだにもかかりぬるかな

千年を経るであろう君の齢にあやかろうとして、藤の花房も松の枝にかかっているのだなあ。

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平家物語

しらなみの衣の袖をしぼりつつ
きみゆゑにこそたちも舞はれね

白波のように白い衣の袖を涙で絞りながら、あなたゆえに、立って舞うこともできないのです。

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平家物語

思ひやれ君がおもかげたつなみの
よせくるたびにぬるるたもとを

思いやってくれ。立つ波が寄せてくるたびに、あなたの面影が浮かんで、涙に濡れる私の袂を。

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平家物語

こいしくば来ても見よかし身に添うる
かげをばいかが放ちやるべき

恋しいなら来て見るがよい。我が身に添っている影を、どうして手放してやることができようか。

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平家物語

山法師おりのべ衣うすくして
恥をばえこそかくさざりけれ

山法師の織延の衣は薄くて、その恥を隠すこともできなかったことだ。

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平家物語

おりのべを一きれも得ぬ我等さへ
うす恥をかく数に入るかな

織延の絹を一切れも得られなかった我らまでもが、薄い恥をかく者の数に入ってしまうことだ。

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平家物語

伊勢武者はみなひをどしの鎧着て
宇治の網代にかかりぬるかな

伊勢武者はみな緋縅の鎧を着て、宇治の網代にかかってしまったことだ。

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平家物語

埋木の花咲くこともなかりしに
みのなるはてぞ悲しかりける

埋もれ木のように、花が咲くこともなかった身であるのに、その果てに実がなるとは、悲しいことだ。

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平家物語

人知れぬ大内山の山守は
木がくれてのみ月を見るかな

人に知られない大内山の山守は、木の陰に隠れたまま、ただ月を見上げるばかりである。

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平家物語

昇るべきたよりなき身は木の下に
しいを拾いて世をわたるかな

昇るための手だてのない身は、木の下でしいの実を拾って、この世を渡っていくばかりだ。

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平家物語

百年を四かえりまでに過ぎ来にし
おたぎの里の荒れや果てなん

百年を四度めぐるまで過ぎてきた、この愛宕の里も、荒れ果ててしまうのだろうか。

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平家物語

咲き出ずるはなの都をふり棄てて
風ふくはらの末ぞあやうき

咲き誇る花の都を振り捨てて、風の吹く原へ移る、その行く末が危ういことだ。

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平家物語

まつよいの更けゆく鐘の声きけば
かえるあしたの鶏はものかは

待つ宵に、更けていく鐘の声を聞くことに比べれば、帰る朝の鶏の声などものの数ではない。

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平家物語

物かはと君がいいけん鶏の音の
今朝しもなどか悲しかるらん

ものの数ではないとあなたが言ったという鶏の声が、今朝にかぎって、どうしてこんなに悲しいのだろう。

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平家物語

待たばこそ更けゆく鐘もつらからめ
帰るあしたの鶏の音ぞうき

待つ身であってこそ、更けていく鐘もつらいのでしょう。今朝は、帰る朝の鶏の声のほうが辛いのです。

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