古典和歌stream

平家物語

行き暮れて木の下陰を宿とせば
花や今宵の主ならまし

日が暮れて行き着けず、木の下陰を宿とするならば、花が今宵の主人ということになるだろうか。

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平家物語

わが恋はほそ谷川のまろき橋
ふみかえされてぬるる袖かな

私の恋は、細い谷川に架かった丸木橋のようだ。踏み返されて落ち、袖が濡れることだ。

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平家物語

ただ頼めほそ谷川のまろき橋
ふみ返しては落ちざらめやは

ただ頼りになさい。細い谷川の丸木橋も、幾度も踏みかかってゆけば、落ちないことがあろうか。

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平家物語

いずくとも知らぬ逢瀬の藻塩草
かきおく跡を形見ともみよ

どこで逢えるとも知れない、その逢瀬を待ちながら書き置くこの跡を、形見と思って見てくれ。

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平家物語

涙川憂き名を流す身なりとも
今ひとたびの逢うせともがな

涙川に憂き名を流す身であっても、もう一度だけ、逢う機会がほしいものだ。

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平家物語

君故にわれも憂き名を流すとも
底のみくずとともになりなん

あなたゆえに私もまた憂き名を流すとしても、川底の水屑となって、ご一緒しよう。

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平家物語

逢うことも露の命ももろともに
こよいばかりやかぎりなるらん

逢うことも、露のようなこの命も、どちらも今宵かぎりということになるのだろうか。

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平家物語

かぎりとて立ち別るれば露の身の
君よりさきに消えぬべきかな

これが最後だと言って立ち別れるのだから、露のようなこの身は、あなたより先に消えてしまいそうだ。

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平家物語

旅の空埴生の小屋のいぶせさに
ふる里いかに恋しかるらん

旅の空の下、埴生の小屋の気詰まりさに、故郷がどれほど恋しくおありでしょう。

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平家物語

ふる里も恋いしくもなし旅の空
都も終のすみかならねば

故郷も恋しくはない。旅の空にあっても同じことだ、都とて終の住みかではないのだから。

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平家物語

いかにせん都の春もおしけれど
なれし吾妻の花や散るらん

どうしよう。都の春も惜しいけれど、住み慣れた東国の花は、もう散っているだろうか。

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平家物語

おしからぬ命なれども今日までに
つれなきかいのしらねをもみつ

惜しくもない命ではあるけれど、今日まで生き永らえたおかげで、つれない甲斐の白根を見ることができた。

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平家物語

そるまではうらみしかどもあずさ弓
まことの道に入るぞうれしき

剃るまでは恨んでいたけれど、まことの道に入ってくれたのは嬉しい。

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平家物語

そるとても何かうらみんあずさ弓
ひきとどむべき心ならねば

剃ったからといって、何を恨むことがあろうか。引きとどめられるような心ではないのだから。

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平家物語

君住めばここも雲井の月なれど
なお恋しきは都なりけり

君がお住まいになるのだから、ここもまた雲居の月ではあるけれど、それでもなお恋しいのは都であった。

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平家物語

ながむればぬるる袂にやどりけり
月よ雲井の物語せよ

眺めていると、涙に濡れる袂に月が宿っていた。月よ、雲の上の昔を語ってくれ。

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