万葉集
人は皆、萩こそが秋だと言う。ままよ、私は尾花の穂先こそを秋だと言おう。
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あなたの使いが手折って持って来たこの秋萩は、いくら見ても見飽きることがない。
我が家に咲いている秋萩がいつまでも変わらないものならば、私の待っている人に見せたいのに。
(初句は訓みが定まらない)植えたかいがあって、出て見ると、家の初萩が咲いたことだ。
我が家に植えて育てた秋萩を、誰が自分のものとしるしを付けたのだろう。私に知られないうちに。
手に取ると袖までも色に染まるほど美しい女郎花が、この白露に散ってしまうのは惜しいことだ。
白露に抗いきれずに咲いた萩が、散ってしまったら惜しいことだろう。雨よ、降らないでおくれ。
娘たちに行き逢うという名の行相の早稲を刈る時期になったらしい。萩の花が咲いている。
朝霧のたなびく野の萩の花は、今ごろ散っているのだろうか。まだ見飽きていないのに。
恋しい時には形見にしなさいと、あの方が植えていった秋萩が、花を咲かせたことだ。
秋萩にこれほど心を尽くすまいと思うけれども、ええ、惜しいことだ。また再び逢えるだろうか、いや逢えはしない。
秋風は日ごとにますます吹くようになった。高円の野辺の秋萩が散るのは惜しいことだ。
立派な男子としての心もなくして、秋萩への恋ばかりに心を奪われて過ごすのだろうか。
私が待っていた秋はやって来た。けれども、萩の花はまだ咲かずにいることだ。
見たいと思って私が待ちこがれていた秋萩は、枝もいっぱいに花を咲かせたことだ。
春日野の萩が散るのなら、朝の東風に連れ添って、ここに散って来てほしい。