古典和歌stream

万葉集

さを鹿の妻ととのふと鳴く声の
至らむ極み靡け萩原

雄鹿が妻を呼び寄せようと鳴く声の届く限り、なびけ、萩原よ。

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万葉集

君に恋ひうらぶれ居れば敷の野の
秋萩しのぎさを鹿鳴くも

あなたを恋しく思ってしょんぼりしていると、敷の野の秋萩を押し分けて、雄鹿が鳴いている。

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万葉集

雁は来ぬ萩は散りぬとさを鹿の
鳴くなる声もうらぶれにけり

雁はやって来た、萩は散ってしまったと、雄鹿の鳴く声までもしょんぼりと沈んでしまった。

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万葉集

秋萩の恋も尽きねばさを鹿の
声い継ぎい継ぎ恋こそまされ

秋萩への恋も尽きないので、雄鹿の声は次々と続き、恋しさがいっそうまさることだ。

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万葉集

山近く家や居るべきさを鹿の
声を聞きつつ寐ねかてぬかも

山の近くに家を構えて住むべきであろうか。雄鹿の声を聞きながら、眠りかねていることだ。

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万葉集

山の辺にい行くさつ男は多かれど
山にも野にもさを鹿鳴くも

山のあたりに出かけて行く猟師は多いけれども、山にも野にも雄鹿が鳴いている。

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万葉集

あしひきの山より来せばさを鹿の
妻呼ぶ声を聞かましものを

山を通って来たならば、雄鹿の妻を呼ぶ声を聞くことができただろうに。

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万葉集

山辺にはさつ男のねらひ畏けど
を鹿鳴くなり妻が目を欲り

山のあたりでは猟師の狙いが恐ろしいけれども、雄鹿が鳴いているようだ。妻に逢いたいと思って。

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万葉集

秋萩の散りゆく見ればおほほしみ
妻恋すらしさを鹿鳴くも

秋萩が散っていくのを見ると心が晴れないので、妻を恋い慕っているらしい。雄鹿が鳴いている。

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万葉集

山遠き都にしあればさを鹿の
妻呼ぶ声は乏しくもあるか

山から遠い都であるので、雄鹿の妻を呼ぶ声はめったに聞けないことだ。

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万葉集

秋萩の散り過ぎゆかばさを鹿は
わび鳴きせむな見ずはともしみ

秋萩が散ってしまったならば、雄鹿は嘆き悲しんで鳴くことだろう。見ないでいると物足りないので。

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万葉集

秋萩の咲きたる野辺はさを鹿ぞ
露を別けつつ妻どひしける

秋萩の咲いている野辺では、雄鹿が露を分けながら妻を求めて歩き回っていた。

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万葉集

なぞ鹿のわび鳴きすなるけだしくも
秋野の萩や繁く散るらむ

どうして鹿が嘆き悲しんで鳴いているのだろう。もしかしたら秋の野の萩がしきりに散っているのだろうか。

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万葉集

秋萩の咲たる野辺にさを鹿は
散らまく惜しみ鳴き行くものを

秋萩の咲いている野辺で、雄鹿は萩の散るのを惜しんで、鳴きながら行くことだ。

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万葉集

あしひきの山の常蔭に鳴く鹿の
声聞かすやも山田守らす子

山のいつも日の当たらない陰で鳴く鹿の声を、お聞きになっているだろうか、山の田の番をしておられる娘よ。

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万葉集

夕影に来鳴くひぐらしここだくも
日ごとに聞けど飽かぬ声かも

夕方の光の中に来て鳴くひぐらしの声は、これほど毎日聞いていても飽きない声であることよ。

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