万葉集 - 大伴旅人
都にある、主婦のいない荒れた家にひとりで寝たならば、旅にもまさって苦しいことだろう。
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万葉集 - 倉橋部女王
天皇のご命令を謹んでお受けになり、まだ大殯をするような時ではないのに、雲に隠れて亡くなってしまわれた。
万葉集
世の中はむなしいものであると示そうとして、この照る月は満ちたり欠けたりしているのだ。
万葉集 - 大伴三中
つい昨日まであなたは生きていたのに、思いがけなくも、浜の松の上に、火葬の煙が雲となってたなびいている。
早く帰ってこないかと待っているだろう妻に、便りの一言さえ告げずに、去ってしまったあなたであることよ。
妻が見た鞆の浦のむろの木は、今も変わらずにあるけれど、それを見た妻はもういない。
鞆の浦の磯のむろの木を見るたびに、ともにこれを見た妻のことが、どうして忘れられようか。
磯の上に根を張っているむろの木よ、お前を見たあの人は今どこにいるのかと尋ねたら、語り告げてくれるだろうか。
妻とともにやって来た敏馬の崎を、帰り道にひとりで見ると、涙ぐんでしまうことだ。
行く時には二人で見たこの崎を、帰りにひとりで通り過ぎると、心悲しいことだ。
妻もいないがらんとした家は、旅にもまして苦しいことであった。
妻と二人で作った私の庭は、しばらく見ないうちに、木が高く茂ってしまったことだ。
妻が植えた梅の木を見るたびに、胸がつまって、涙が流れる。
万葉集 - 余明軍
ああ慕わしい、栄えていらっしゃったわが君が生きておられたならば、昨日も今日も私をお呼びになったであろうに。
こうなるばかりの運命であったのに、萩の花は咲いているかとお尋ねになった君よ。
わが君を恋い慕って、どうしようもないので、葦辺の鶴のように声を上げて泣いてばかりいる。朝にも夕にも。