古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

山の端の心も知らで行く月は
うはの空にて影や絶えなむ

山の端の心も知らずに進んでいく月は、上の空のままで光が絶えてしまうのではないだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

夕露に紐とく花は玉鉾の
たよりに見えし縁にこそありけれ

夕方の露を得て紐を解くように咲く花が顔を見せるのは、道すがらの縁で出会ったつながりがあったからなのだ。

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源氏物語 - 紫式部

光ありと見し夕顔のうは露は
たそかれ時のそら目なりけり

光があると見た夕顔の上露は、黄昏時の見間違いだったのだ。

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源氏物語 - 紫式部

見し人の煙を雲とながむれば
夕べの空もむつましきかな

親しんだ人の火葬の煙を雲だと思って眺めると、夕方の空までも親しく感じられることだ。

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源氏物語 - 紫式部

問はぬをもなどかと問はで程ふるに
いかばかりかは思ひ乱るる

見舞いもしないのをなぜかとお尋ねにもならないまま月日が経つうちに、私はどれほど思い乱れていることだろう。

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源氏物語 - 紫式部

うつせみの世はうきものと知りにしを
また言の葉にかかる命よ

この世はつらいものだと知ってしまったのに、それでもまた、あなたの言葉に頼って生きていく命であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

泣く泣くも今日はわが結ふ下紐を
いづれの世にかとけて見るべき

泣きながら今日は私が結ぶこの下紐を、いつの世に解いて見ることができるだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

ほのかにも軒端の荻をむすばずは
露のかごとを何にかけまし

かすかにでも軒端の荻を結ぶことがなかったなら、露ほどの恨み言を何にかけて言えばよかっただろう。

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源氏物語 - 紫式部

ほのめかす風につけても下荻の
半ばは霜にむすぼほれつつ

それとなくほのめかす風につけても、下の荻は半ばまで霜に閉ざされてほどけずにいる。

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源氏物語 - 紫式部

逢ふまでの形見ばかりと見しほどに
ひたすら袖の朽ちにけるかな

再び逢うまでの形見とだけ思って見ているうちに、袖はすっかり涙で朽ちてしまったことだ。

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源氏物語 - 紫式部

蝉の羽もたち変へてける夏衣
かへすを見てもねは泣かれけり

蝉の羽のような薄い夏衣も季節が変わってしまったが、それが返されるのを見ると、声を上げて泣かれてしまうことだ。

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源氏物語 - 紫式部

過ぎにしも今日別るるも二道に
行く方知らぬ秋の暮かな

亡くなってしまった人も、今日別れていく人も、それぞれ二つの道に分かれて、その行方も分からない秋の暮れであることだ。

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源氏物語 - 紫式部

生ひ立たむありかも知らぬ若草を
おくらす露ぞ消えむそらなき

これから生い立っていく先も分からない若草を、後に残して消えていく露には、消えていく空もない。

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源氏物語 - 紫式部

初草の生ひ行く末も知らぬ間に
いかでか露の消えむとすらむ

初草が生い育っていく行く末も分からないうちに、どうして露は消えようとするのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

初草の若葉の上を見つるより
旅寝の袖も露ぞ乾かぬ

初草の若葉のような幼い人を見てからは、旅寝の袖も涙の露で乾く間がない。

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源氏物語 - 紫式部

枕結ふ今宵ばかりの露けさを
深山の苔に比べざらなむ

旅の枕を結ぶ今宵だけの涙がちな思いを、深山にこもる者の苔の衣の涙とは、どうか比べないでほしい。

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