古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

吹きまよふ深山おろしに夢さめて
涙もよほす滝の音かな

吹き乱れる深山おろしに夢が覚めて、涙をさそう滝の音であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

さしぐみに袖ぬらしける山水に
澄める心は騒ぎやはする

急に袖を濡らされたその山の水に、住み慣れて澄んだ心が騒ぐことなどあるだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

宮人に行きて語らむ山桜
風よりさきに来てもみるべく

宮中の人々に帰って語ろう。この山桜のことを、風が吹く前に来て見るようにと。

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源氏物語 - 紫式部

優曇華の花待ち得たる心地して
深山桜に目こそ移らね

優曇華の花に出会えた心地がして、深山の桜には目も移らない。

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源氏物語 - 紫式部

奥山の松のとぼそをまれに開けて
まだ見ぬ花の顔を見るかな

奥山の松の戸をまれに開けて、まだ見たことのない花のような顔を見ることであるよ。

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源氏物語 - 紫式部

夕まぐれほのかに花の色を見て
今朝は霞の立ちぞわづらふ

夕暮れにほのかに花の色を見たので、今朝は霞が立ってしまい、立ち去りかねている。

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源氏物語 - 紫式部

まことにや花のあたりは立ち憂きと
霞むる空の気色をも見む

本当だろうか。花のあたりは立ち去りがたいという言葉は。霞んでいる空の様子を見てみよう。

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源氏物語 - 紫式部

面影は身をも離れず山桜
心の限りとめて来しかど

面影はこの身から離れない。山桜よ、心の限りをその場に留めて来たけれども。

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源氏物語 - 紫式部

嵐吹く尾の上の桜散らぬ間を
心とめけるほどのはかなさ

嵐の吹く峰の上の桜が、散らないうちだけ心をとめておられる。その程度の愛情のはかなさよ。

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源氏物語 - 紫式部

あさか山浅くも人を思はぬに
など山の井のかけ離るらむ

あさか山という名のように浅くあなたを思っているわけではないのに、どうして山の井の影のように離れてしまうのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

汲み初めてくやしと聞きし山の井の
浅きながらや影を見るべき

汲みはじめて後悔すると聞いた山の井の、浅いままでどうして影を見ることができようか。

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源氏物語 - 紫式部

見てもまた逢ふ夜まれなる夢のうちに
やがて紛るる我が身ともがな

こうして逢っても、また逢える夜はめったにない。この夢の中に、このまま紛れ込んでしまう我が身であってほしい。

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源氏物語 - 紫式部

世語りに人や伝へむたぐひなく
憂き身を覚めぬ夢になしても

世間の語り草として人が語り伝えるだろうか。この上なくつらいわが身を、覚めない夢ということにしたとしても。

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源氏物語 - 紫式部

いはけなき鶴の一声聞きしより
葦間になづむ舟ぞえならぬ

幼い鶴の一声を聞いてからというもの、葦の間で行き悩む舟のように、思いは進まず耐えがたい。

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源氏物語 - 紫式部

手に摘みていつしかも見む紫の
根にかよひける野辺の若草

手に摘み取って、早く自分のものとして見たい。紫の根に通じている、野辺の若草を。

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源氏物語 - 紫式部

あしわかの浦にみるめはかたくとも
こは立ちながらかへる波かは

葦若の浦で海松布を見るのが難しいように、逢うことは難しくとも、私は立ったまま引き返す波であろうか。

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