古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

紅のひと花衣うすくとも
ひたすら朽す名をし立てずは

紅に一度だけ染めた衣の色は薄くとも、その名をすっかり朽ちさせるような悪い評判さえ立てなければよいのだが。

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源氏物語 - 紫式部

逢はぬ夜をへだつるなかの衣手に
重ねていとど見もし見よとや

逢わない夜を隔てている二人の衣に、さらに衣を重ねて、いっそうよく見よとおっしゃるのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

紅の花ぞあやなくうとまるる
梅の立ち枝はなつかしけれど

紅の花は、わけもなく疎ましく思われる。梅の立ち枝の花には心引かれるけれど。

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源氏物語 - 紫式部

もの思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の
袖うち振りし心知りきや

物思いに沈んで、立って舞えるような身ではないのに、袖を振ったその心を、あなたは知っていただろうか。

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源氏物語 - 紫式部

唐人の袖振ることは遠けれど
立ち居につけてあはれとは見き

唐の人が袖を振ったという故事は遠いことだけれど、あなたの立ち居振る舞いにつけては、しみじみと感じ入って見た。

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源氏物語 - 紫式部

いかさまに昔結べる契りにて
この世にかかる中の隔てぞ

前世でどのような約束を結んだために、この世でこれほどの隔てのある仲になったのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

見ても思ふ見ぬはたいかに嘆くらむ
こや世の人の惑ふてふ闇

会っても思い悩むのですから、会わない方はどれほど嘆いておられるでしょう。これが世の人の言う、子ゆえの心の闇なのでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

よそへつつ見るに心は慰まで
露けさまさる撫子の花

あの方になぞらえて見ても心は慰まず、かえって涙がちになるばかりの撫子の花であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

袖ぬるる露のゆかりと思ふにも
なほ疎まれぬ大和撫子

袖を濡らすという露のゆかりと思うにつけても、やはり疎ましく思わずにいられない大和撫子であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

君し来ば手なれの駒に刈り飼はむ
盛り過ぎたる下葉なりとも

あなたが来てくださるなら、乗り慣れた馬に刈って与えましょう。盛りを過ぎた下葉ではあっても。

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源氏物語 - 紫式部

笹分けば人やとがめむいつとなく
駒なつくめる森の木隠れ

笹を分けて入っていったら、人がとがめるだろう。いつも馬が慣れ親しんでいるらしい、あの森の木陰では。

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源氏物語 - 紫式部

立ちぬるる人しもあらじ東屋に
うたてもかかる雨そそきかな

立ち寄って濡れる人などいそうもない東屋に、いやなことに、こうして雨だれがかかることよ。

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源氏物語 - 紫式部

人妻はあなわづらはし東屋の
真屋のあまりも馴れじとぞ思ふ

人妻というのはああ面倒だ。東屋の真屋の軒端ではないが、あまり慣れ親しむまいと思う。

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源氏物語 - 紫式部

つつむめる名やもり出でむ引きかはし
かくほころぶる中の衣に

包み隠しているらしい浮名も、漏れ出てしまうだろうか。互いに引っ張り合って、こうして綻びてしまった中の衣によって。

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源氏物語 - 紫式部

かくれなきものと知る知る夏衣
きたるをうすき心とぞ見る

隠しようのないものと知りながら、薄い夏衣を着てここへ来た、その薄情さと私は見る。

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源氏物語 - 紫式部

うらみても言ふかひぞなき立ち重ね
引きてかへりし波のなごりに

恨んでみても言うだけのかいがない。立ち重なって寄せては、引いて帰っていった波のなごりに。

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