古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

あらだちし波に心は騒がねど
寄せけむ磯をいかがうらみぬ

荒々しく立った波に心が騒ぐことはないけれど、その波を寄せた磯のほうを、どうして恨まずにいられようか。

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源氏物語 - 紫式部

中絶えばかごとや負ふとあやふさに
はなだの帯を取りてだに見ず

二人の仲が絶えたら私のせいだと文句を言われそうで危ういので、この縹の帯は手に取って見ることさえしていない。

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源氏物語 - 紫式部

君にかく引き取られぬる帯なれば
かくて絶えぬる中とかこたむ

あなたにこうして引き取られてしまった帯なのだから、これで絶えてしまった仲だと、恨み言を言うことにしよう。

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源氏物語 - 紫式部

尽きもせぬ心の闇に暮るるかな
雲居に人を見るにつけても

尽きることのない心の闇に、目の前が暗くなることだ。はるかな雲居にあの方を見るにつけても。

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源氏物語 - 紫式部

おほかたに花の姿を見ましかば
露も心のおかれましやは

世間並みの気持ちであの花のような姿を見ることができたなら、少しも心に隔てを置くことなどあっただろうか。

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源氏物語 - 紫式部

深き夜のあはれを知るも入る月の
おぼろけならぬ契りとぞ思ふ

深い夜のしみじみとした情趣を知るあなたと出会えたのも、入る月がおぼろであるように、並一通りではない縁だと思う。

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源氏物語 - 紫式部

憂き身世にやがて消えなば尋ねても
草の原をば問はじとや思ふ

つらいこの身がこのまま世から消えてしまったなら、探してくださっても、草の原までは尋ねてくださらないおつもりなのですか。

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源氏物語 - 紫式部

いづれぞと露のやどりを分かむまに
小笹が原に風もこそ吹け

どれがそれかと、露の宿った先を見分けているうちに、小笹の原に風が吹いてしまうかもしれない。

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源氏物語 - 紫式部

世に知らぬ心地こそすれ有明の
月のゆくへを空にまがへて

この世で経験したことのない心地がする。有明の月の行方を、空の中で見失ってしまって。

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源氏物語 - 紫式部

わが宿の花しなべての色ならば
何かはさらに君を待たまし

私の家の花が世間並みの色でしかないのなら、どうしてこれ以上あなたを待ったりするだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

あづさゆみいるさの山に惑ふかな
ほの見し月の影や見ゆると

梓弓を射るという、その入佐の山で迷っていることだ。ほのかに見たあの月の光が見えはしないかと思って。

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源氏物語 - 紫式部

心いる方ならませば弓張の
月なき空に迷はましやは

本当に心を寄せている相手であるのなら、弓張の月のない空に迷ったりするでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

影をのみ御手洗川のつれなきに
身の憂きほどぞいとど知らるる

御手洗川に映る影を見るばかりで、そのつれない素振りに、わが身のつらさがいっそう思い知られる。

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源氏物語 - 紫式部

はかりなき千尋の底の海松ぶさの
生ひゆくすゑは我のみぞ見む

計り知れない千尋の海の底に生える海松の房が伸びていく、その行く末は私だけが見届けよう。

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源氏物語 - 紫式部

千尋ともいかでか知らむ定めなく
満ち干る潮ののどけからぬに

千尋だなどとどうして分かるでしょう。定めなく満ちたり引いたりする潮が、少しも穏やかでないのに。

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源氏物語 - 紫式部

はかなしや人のかざせる葵ゆゑ
神の許しの今日を待ちける

はかないことです。他の人が挿している葵のために、神の許しが出る今日という日を待っていたとは。

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