新古今和歌集 - 慈円
大空に立つ富士の煙が、春の色をした霞となってたなびいている、明け方の空よ。
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新古今和歌集 - 藤原清輔
朝霞が深く見えるのは、煙の立つという室の八島のあたりなのだろうか。
新古今和歌集 - 藤原実定
名古の海の霞の切れ間から眺めると、沈む夕日を洗っている沖の白波が見える。
新古今和歌集 - 後鳥羽院
見渡すと山のふもとが霞んでいる水無瀬川よ。夕暮れは秋がよいなどと、どうして思っていたのだろう。
新古今和歌集 - 藤原家隆
霞の立つ末の松山に、ほのぼのと明けて、波から離れていく横雲の空よ。
新古今和歌集 - 藤原定家
春の夜の夢の浮橋が途切れて、峰から離れていく横雲の空よ。
新古今和歌集 - 中務
知っているだろうか、いや知るまい。霞の空を眺めながら、花も咲かない春を嘆いていると。
大空は梅の香に霞み続けて、曇りきることのない春の夜の月よ。
新古今和歌集 - 藤原頼通
折られたのだった、紅に照り映える梅の花が。今朝は真っ白に雪が降っているけれども。
新古今和歌集 - 藤原敦家
家の主が誰であるかは見分けもせず、春はただ垣根の梅を尋ねて見るばかりである。
新古今和歌集 - 源俊頼
気持ちがあるなら尋ねたいものだ。この梅の香は、いったい誰の袖から匂ってきたのだろうか。
梅の花が香りを移した袖の上で、軒から漏れる月の光が競い合っている。
梅の香によって昔を問いかけると、春の月は答えないまま、その光だけが袖に映っている。
新古今和歌集 - 源通具
梅の花よ、これは誰の袖が触れた香りなのかと、春は昔のままかと問うたあの月に尋ねてみたい。
新古今和歌集 - 藤原俊成女
梅の花の、見飽きることのない色も香も昔のままで、同じ形見であるこの春の夜の月よ。
新古今和歌集 - 藤原定頼
まだ見ぬあなたになぞらえて見ていた梅の花が、散ってしまった後は、心を慰めるものが何もない。