古典和歌stream

大和物語

大空をわたる春日の影なれや
よそにのみしてのどけかるらむ

大空をわたる春の日の光だからだろうか。よそにばかりいて、のどかにしているようだ。

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大和物語

ゆきて見ぬ人のためにと思はずは
誰か折らましわが宿の菊

行って見ることのできないお前のためにと思わなければ、誰がこの家の菊を折ったりするだろうか。

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大和物語

わが宿に色をりとむる君なくは
よそにもきくの花を見ましや

私のもとへ色を折り取って届けてくださるあなたがいなければ、よそながらでも菊の花を見ることができたでしょうか。

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大和物語

雲ならで木高き峰にゐるものは
憂き世をそむくわが身なりけり

雲でもないのに木の高い峰にいるものは、つらい世に背を向けたこの身なのであった。

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大和物語

おなじえをわきてしもおく秋なれば
光もつらくおもほゆるかな

同じ枝でありながら、分け隔てて霜を置く秋であるから、光までが恨めしく思われることだ。

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大和物語

花の色を見ても知りなむはつ霜の
心わきてはおかじとぞ思ふ

花の色を見ればきっと分かるだろう。初霜が心を分け隔てて置くことはあるまいと思う。

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大和物語

わたつみの深き心はおきながら
うらみられぬるものにぞありける

海のように深い心は持っているのに、それでも恨まれてしまうものであった。

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大和物語

秋の野をわくらむ鹿もわがごとや
しげきさはりに音をばなくらむ

秋の野を分け入っていく鹿も、私と同じように、茂った障りに阻まれて声を上げて鳴いているのだろうか。

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大和物語

しをりしてゆく旅なれどかりそめの
いのち知らねばかへりしもせじ

枝を折って道しるべにしながら行く旅ではあるが、はかない命のことは分からないので、帰ってくることもあるまい。

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大和物語

いま来むといひて別れし人なれば
かぎりと聞けどなほぞ待たるる

今すぐ帰ってくると言って別れた人なので、これが最後だと聞いても、やはり待たれてしまう。

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大和物語

夕さればみちも見えねどふるさとは
もと来し駒にまかせてぞゆく

夕方になって道も見えないけれど、通い慣れたあなたの家へは、以前から通っていた馬にまかせて行くのだ。

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大和物語

駒にこそまかせたりけれはかなくも
心の来ると思ひけるかな

馬にまかせて来ただけだったのね。はかなくも、あなたの心が来たのだと思っていたことだ。

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大和物語

をちこちのひと目まれなる山里に
家ゐせむとは思ひきや君

あちらこちらの人目もまれな山里に住まいを構えることになろうとは、あなたは思ってもみなかっただろう。

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大和物語

みちのくの安達が原の黒塚に
鬼こもれりと聞くはまことか

陸奥の安達が原の黒塚に、鬼が籠もっていると聞くのは本当だろうか。

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大和物語

花ざかりすぎもやすると
かはづなく井手の山吹うしろめたしも

花の盛りが過ぎてしまうのではないかと、蛙の鳴く井手の山吹のことが気がかりでならない。

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大和物語

大空の雲のかよひ路見てしかな
とりのみゆけばあとはかもなし

大空の雲の通い路を見てみたいものだ。鳥だけが行くので、跡もありはしない。

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