古典和歌stream

大和物語

あだ人の頼めわたりしそめかはの
色の深さを見でやゝみなむ

誠意のないあなたが、ずっと期待させ続けた染革の色の深さを、とうとう見ないままで終わってしまうのだろうか。

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大和物語

せかなくに絶えと絶えにし山水の
たれしのべとか声を聞かせむ

せき止めたわけでもないのに、すっかり絶えてしまった山水のように、誰を偲べといって、この声を聞かせようというのか。

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大和物語

ひぐらしに君まつ山のほととぎす
とはぬ時にぞ声もおしまぬ

一日中あなたを待つ、その待つ山のほととぎすは、訪れのないときにこそ声を惜しまず鳴くのだ。

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大和物語

ぬしもなき宿に枯れたる松見れば
千代すぎにけるここちこそすれ

あるじもいない僧坊に枯れている松を見ると、千年もの時が過ぎてしまったような気持ちがすることだ。

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大和物語

それをだに思ふこととてわが宿を
見きとないひそ人の聞かくに

せめてそれだけでも私を思ってくれることとして、私の家を見たとは言わないでほしい。人が聞くのだから。

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大和物語

いまはわれいづちゆかまし山にても
世の憂きことはなほも絶えぬか

今となっては私はどこへ行けばよいのだろう。山にいても、世の中のつらいことはやはり絶えないのか。

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大和物語

朝霧のなかに君ますものならば
晴るるまにまにうれしからまし

もしこの朝霧の中にあの方がいらっしゃるのなら、霧が晴れるにつれてうれしくなるだろうに。

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大和物語

ことならば晴れずもあらなむ秋霧の
まぎれに見えぬ君と思はむ

同じことなら、いっそ晴れないでいてほしい。秋霧にまぎれて見えないだけの人だと思っていよう。

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大和物語

をみなへし折る手にかかる白露は
むかしの今日にあらぬ涙か

女郎花を折る手にかかる白露は、昔のこの日がもう戻らないことを嘆く涙なのだろうか。

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大和物語

沖つ風ふけゐの浦に立つ浪の
なごりにさへやわれはしづまむ

沖の風が吹く、その吹井の浦に立つ波の名残にまで、私は沈んでしまうのだろうか。

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大和物語

よそながら思ひしよりも夏の夜の
見はてぬ夢ぞはかなかりける

よそごととして思っていたときよりも、夏の夜の見終わらない夢のほうが、はかないものであった。

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大和物語

あはれてふ人もあるべくむさし野の
草とだにこそ生ふべかりけれ

いとしいと言ってくれる人があるように、せめて武蔵野の草としてでも生まれてくればよかったのだ。

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大和物語

しぐれのみ降る山里の木のしたは
をる人からやもりすぎぬらむ

時雨ばかりが降る山里の木の下は、そこにいる人のせいだろうか、雨が漏れ過ぎていくようだ。

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大和物語

立ち寄らむ木のもともなきつたの身は
ときはながらに秋ぞかなしき

寄りかかるべき木の根もとさえない蔦のようなこの身は、常緑のままであるだけに、秋が悲しい。

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大和物語

色ぞとは思ほえずともこの花は
時につけつつ思ひ出でなむ

美しい色だとは思われなくても、この花を、折にふれてご覧になって私を思い出してほしい。

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大和物語

白雲のここのへに立つ峰なれば
大内山といふにぞありける

白雲が幾重にも立つ峰であるから、大内山というのであった。

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