古典和歌stream

大和物語

久しくはおもほえねども住の江の
松やふたたび生ひかはるらむ

久しいとは思われないけれど、住の江の松は二度目に生え替わったのだろうか。

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大和物語

あくといへばしづ心なき春の夜の
夢とや君を夜のみは見む

夜が明けるというので落ち着いていられない春の夜の夢——そのようなものとして、あなたを夜だけ見ることになるのだろうか。

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大和物語

思ひきや過ぎにし人の悲しきに
君さへつらくならむものとは

思ってもみなかった。亡くなった人が悲しいうえに、あなたまでがつれなくなろうとは。

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大和物語

なき人を君が聞かくにかけじとて
泣く泣く忍ぶほどな恨みそ

亡くなった人のことをあなたのお耳に入れまいと思って、泣く泣くこらえている、そのあいだを恨まないでほしい。

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大和物語

あらたまの年は経ねども猿澤の
池の玉藻は見つべかりけり

年が改まるほど時が経ったわけでもないのに、猿沢の池の玉藻を見ることになりそうだ。

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大和物語

数ならぬ身におく夜の白玉は
光見えさすものにぞありける

物の数にも入らないこの身に置く夜の白玉は、わずかに光を見せるだけのものであった。

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大和物語

春の野ははるけながらも忘れ草
生ふるは見ゆるものにぞありける

春の野は遥かに広いけれど、忘れ草が生えているのは目に見えるものであった。

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大和物語

春の野に生ひじとぞ思ふ忘れ草
つらき心の種しなければ

春の野に忘れ草は生えないだろうと思う。つれない心という種がないのだから。

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大和物語

秋風になびく尾花は昔見し
たもとに似てぞ恋しかりける

秋風になびく尾花は、昔見たあなたの袂に似ていて、恋しく思われた。

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大和物語

たもとともしのばざらまし秋風に
なびく尾花のおどろかさずは

袂だとして思い出しもしなかっただろう。秋風になびく尾花が驚かせなかったなら。

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大和物語

ふるさとと荒れにし宿の草の葉も
君がためとぞまづは摘みける

旧い里として荒れ果ててしまったこの家の草の葉も、あなたのためと思って、まず摘んだのだ。

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大和物語

世に経れど恋もせぬ身の夕されば
すずろに物の悲しきやなぞ

生きながらえてはいるが恋もしないこの身が、夕方になるとわけもなく物悲しくなるのは、どうしてなのだろう。

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大和物語

夕ぐれに物思ふ時は神無月
われも時雨におとらざりけり

夕暮れに物思いをするときは十月であって、私も時雨に劣らないほどだ。

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大和物語

久方の空なる月の身なりせば
ゆくとも見えで君は見てまし

もしも空にある月の身であったなら、行くとも見られないままに、あなたを見ていられただろうに。

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大和物語

柏木のもりの下草老いぬとも
身をいたづらになさずもあらなむ

柏木の森の下草のように、この身が老いてしまっても、無用のものとして捨て置かないでいてほしい。

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大和物語

柏木のもりの下草老いのよに
かかる思ひはあらじとぞ思ふ

柏木の森の下草が老いるような世になっても、そのような思いはあるまいと思う。

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