古典和歌stream

大和物語

くれ竹のよよのみやこと聞くからに
君はちとせのうたがひもなし

呉竹の節々のように代々の都と聞くだけで、あなたが千年栄えることに疑いもない。

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大和物語

かく咲ける花もこそあれわがために
おなじ春とやいふべかりける

このように咲いている花もあるというのに、私にとってこれを同じ春だと言うことができるだろうか。

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大和物語

たまさかにとふ人あらばわたの原
嘆きほにあげていぬとこたへよ

まれに私のことを尋ねる人があったなら、大海原へ、嘆きを帆に上げて去っていったと答えてほしい。

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大和物語

おく露のほどをも待たぬ朝顔は
見ずぞなかなかあるべかりける

置く露のあいださえ待たずにしぼむ朝顔は、いっそ見ないほうがよかったのだ。

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大和物語

つつめども隠れぬものは夏虫の
身よりあまれる思ひなりけり

包んでも隠れないものは、夏の虫の身から余りあふれ出る思いなのであった。

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大和物語

いひつつも世ははかなきをかたみには
あはれといかで君に見えまし

こうして語り合っていても世ははかないのだから、互いにしみじみと思う心を、どうやってあなたに見せることができるだろう。

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大和物語

里はいふ山にはさわぐ白雲の
空にはかなき身とやなりなむ

里では人が言い立て、山では騒ぎになる。その白雲のように、空しくはかない身になってしまうのだろうか。

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大和物語

あさぼらけわが身は庭の霜ながら
なにを種にて心生ひけむ

夜明けの、庭の霜のようなこの身でありながら、いったい何を種として恋心が生えてしまったのだろう。

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大和物語

まがきする飛騨のたくみのたつき音の
あなかしがましなぞや世の中

垣を作る飛騨の工の立てる斧の音のように、ああ騒がしいことだ。どうしてこう世の中というものは。

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大和物語

なにばかり深くもあらず世のつねの
比叡を外山と見るばかりなり

どれほど深いというわけでもない。世間で言うところの比叡山を、外の山として見るほどの所である。

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大和物語

のぼりゆく山の雲居の遠ければ
日もちかくなるものにぞありける

のぼっていく山の雲のかなたは遠いので、そのぶん日も近くなるものであった。

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大和物語

のがるとも誰か着ざらむぬれ衣
あめの下にし住まむかぎりは

逃れたとしても、誰が濡れ衣を着ずにいられよう。雨の下に住んでいるかぎりは。

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大和物語

ひとの親の心は闇にあらねども
子を思ふ道にまどひぬるかな

人の親の心は闇というわけでもないのに、子を思う道にはやはり迷ってしまうことだ。

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大和物語

うちとけて君は寝つらむわれはしも
露のおきゐて恋にあかしつ

あなたは気を許して寝ていたのだろう。私のほうは露が置くように起きていて、恋のうちに夜を明かした。

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大和物語

白露のおきふし誰を恋ひつらむ
われは聞きおはずいそのかみにて

白露の置くなか、起きては伏して誰を恋うていたのでしょう。私は自分のこととは聞きません。古びた身ですから。

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大和物語

おく山に心を入れてたづねずは
深き紅葉の色を見ましや

奥山まで心を尽くして訪ねていかなければ、深く色づいた紅葉の色を見ることができただろうか。

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