古典和歌stream

大和物語

しほがまの浦にはあまや絶えにけむ
などすなどりの見ゆる時なき

塩竈の浦には海人が絶えてしまったのだろうか。どうして漁をする姿の見えるときがないのか。

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大和物語

年を経てぬれわたりつるころも手を
今日のなみだにくちやしぬらむ

長年濡れ続けてきたこの袖を、今日の涙でとうとう朽ちさせてしまうのだろうか。

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大和物語

忘るやといでてこしかどいづくにも
うさははなれぬものにぞありける

忘れられるかと思って出てきたけれど、どこにいても憂さは離れないものであった。

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大和物語

君を思ひなまなまし身を焼く時は
けぶりおほかるものにぞありける

あなたを思って、生々しいこの身を焼くときには、煙が多く立つものであった。

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大和物語

世の中のあさき瀬にのみなりゆけば
昨日のふじの花とこそ見れ

世の中が浅い瀬にばかりなっていくので、この藤の花も、昨日の淵の花としてこそ見えることだ。

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大和物語

藤の花色のあさくも見ゆるかな
うつろひにけるなごりなるべし

藤の花は色が浅くも見えることだ。もう色移りしてしまったあとの名残なのだろう。

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大和物語

思ふてふ心はことにありけるを
むかしの人になにを言ひけむ

思うという心は、これほどに別ものであったのに、昔の人にはいったい何を言っていたのだろう。

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大和物語

ゆくすゑの宿世を知らぬ心には
君にかぎりの身とぞいひける

行く末の宿縁を知らない心では、あなただけの身だと、そう言っていたのだ。

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大和物語

さもこそは峰の嵐は荒からめ
なびきし枝をうらみてぞ来し

なるほど峰の嵐は激しかったのだろう。だがその風になびいた枝を恨みながら帰ってきたのだ。

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大和物語

わすらるなわすれやしぬる春がすみ
けさ立ちながらちぎりつること

忘れないでください。私も忘れはしません。春霞の立つ今朝、立ったままで交わした約束のことを。

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大和物語

たまだれのうちと隠るはいとどしく
影を見せじと思ふなりけり

玉すだれの内へと隠れるのは、いよいよ私に姿を見せまいと思ってのことだったのだ。

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大和物語

なげきのみしげきみ山のほととぎす
木がくれゐても音をのみぞなく

嘆きばかりが茂る深山のほととぎすは、木に隠れていても、ただ声を上げて鳴くばかりである。

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大和物語

死ねとてやとりもあへずはやらはるる
いといきがたきここちこそすれ

死ねということなのか。取るものも取りあえず追い払われるとは。まことに生きた心地もしない。

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大和物語

われはさは雪降る空に消えねとや
たちかへれどもあけぬ板戸は

では私は、雪の降る空に消えてしまえということなのか。立ち戻ってきたのに開かないこの板戸は。

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大和物語

さ夜ふけていなおほせ鳥のなきけるを
君がたたくと思ひけるかな

夜が更けて、いなおほせ鳥が鳴いていたのを、あなたが戸を叩くのだと思ってしまったことだ。

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大和物語

君を思ふひまなき宿と思へども
こよひの雨はもらぬ間ぞなき

あなたを思う隙間もない家だと思っていたけれど、今宵の雨は漏らないところがない。

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