古典和歌stream

大和物語

わが宿をいつかは君がならし葉の
ならし顔には折りにおこする

私の家を、あなたがいつ慣れ親しんだというので、ならし葉の名のとおり慣れ顔で、枝を折りに寄こすのでしょうか。

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大和物語

かしは木に葉守の神のましけるを
しらでぞ折りしたたりなさるな

柏木に葉守の神がいらしたのを知らずに折ってしまった。どうか祟りなさいますな。

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大和物語

よひよひに恋しさまさる狩ごろも
心づくしのものにぞありける

夜ごとに恋しさがまさるこの狩衣は、心を尽くさせるものであった。

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大和物語

みちのくの安達の山ももろともに
越えば別れの悲しからじを

陸奥の安達の山も、もろともに越えるのであったなら、別れの悲しみもなかっただろうに。

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大和物語

賀茂川の瀬にふす鮎のいをとりて
寝でこそあかせ夢に見えつや

賀茂川の瀬に伏している鮎の、寝ているのを捕って、私は寝もせずに夜を明かした。夢に見えたでしょうか。

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大和物語

篠塚のうまやうまやと待ちわびし
君はむなしくなりぞしにける

篠塚の駅ではないが、今か今かと待ちわびていたあなたは、むなしく亡くなってしまったのだった。

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大和物語

咲きにほひ風まつほどの山ざくら
人の世よりはひさしかりけり

咲き匂って散らす風を待つばかりの山桜も、人の世の命に比べれば長いものであった。

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大和物語

春々の花は散るとも咲きぬべし
またあひがたき人の世ぞ憂き

春ごとに花は散っても、また咲くにちがいない。二度と逢いがたい人の世こそがつらい。

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大和物語

池はなほむかしながらのかがみにて
影見し君がなきぞかなしき

池は今も昔のままの鏡であるのに、その面に姿を映していたあなたがいないのが悲しい。

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大和物語

別るべきこともあるものをひねもすに
待つとてさへも嘆きつるかな

別れねばならぬことさえあるというのに、一日中こうして待つことまでも嘆かなければならないとは。

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大和物語

宿近くうつして植ゑしかひもなく
まちどほにのみ見ゆる花かな

家の近くへ移して植えた甲斐もなく、ただ待ち遠しくばかり見える花であることだ。

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大和物語

君がゆく越のしら山知らずとも
ゆきのまにまにあとはたづねむ

あなたが行く越の白山を知らなくても、雪の降るにまかせて、その跡を訪ね尋ねよう。

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大和物語

今宵こそなみだの川にいる千鳥
なきてかへると君は知らずや

今宵こそ、涙の川に入った千鳥が鳴きながら帰るのだと、あなたはご存じないのだろうか。

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大和物語

ながき夜をあかしの浦に焼く塩の
けぶりは空に立ちやのぼらぬ

長い夜を明かす、その明石の浦で焼く塩の煙は、空に立ちのぼらないものだろうか。

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大和物語

竹取がよよに泣きつつとどめけむ
君は君にと今宵しもゆく

竹取の翁が夜ごとに泣きながら引き留めたという姫君は、大君のもとへと、今宵にかぎって行ってしまうのか。

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大和物語

うちつけにまどふ心と聞くからに
なぐさめやすくおぼほゆるかな

出し抜けに惑う心だと聞くだけで、慰めるのもたやすいことに思われることだ。

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