蜻蛉日記 - 藤原兼家
ただ泣くばかりでおります。夏引きの糸ではないが、一目二目お目にかかるほどの暇がないわけではないのに。
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蜻蛉日記
あなたと私とは、やはり白糸のように、どうにかして憂き節もないままで絶えたいものだと思う。
世を経ても、契りを結んでおいた仲であればこそ、いっそう不吉なことも見えるのでしょう。
所在ない長雨のうちに、雨が注いでいるであろう、その事の次第こそ興趣があることだ。
蜻蛉日記 - 藤原道綱母
どこでも長雨が注ぐころなので、世を経る人はのどかではありますまいに。
天下が騒ぐ心も大水になって、誰もが恋路に、泥道に濡れないことがあろうか。
いつも共に見ておられる方の恋路も、乾かす時はあるまいと思いやられます。
そのように落ち着いてもおられないあなたこそ濡れておいででしょう。いつも住んでいる所には、恋路さえありません。
常夏の花に恋しさが慰められるかと、あなたの垣根で折っているのを、ご存じないのか。
水嵩が増して、浦も渚もなくなるころなので、千鳥の跡を踏み、文は迷うのだろうか。
浦に隠れて見ることの難しい跡であるのなら、潮の干るのを待ちましょう。つらいことです。
裏心もなく文を送る、その跡を、大海の潮が干る間まで待ったところで、何になろうか。
あなたのおいでのこの町の南に、すぐにはうかがえず遅くなったが、この春には今こそ尋ね参ったことだ。
穂に出たなら道行く人までも招くはずの、この宿の薄を掘り取るとは、なんとも無理なことだ。
不思議にも、夜の行方を知らないことだ。今日一日、ひぐらしの声は聞いたけれども。
曇り夜の月と、我が身の行く末と、その心もとなさは、どちらがまさっているだろう。