古典和歌stream

万葉集

あしひきの山椿咲く八つ峰越え
鹿待つ君が斎ひ妻かも

山椿の咲く幾重もの峰を越えて、鹿を待ち伏せるあなたの、身を慎んで無事を祈る妻であることよ。

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万葉集

暁と夜烏鳴けどこの岡の
木末の上はいまだ静けし

夜明けだと夜烏が鳴くけれど、この岡の梢の上は、まだ静かなままだ。

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万葉集

西の市にただ独り出でて目並べず
買ひてし絹の商じこりかも

西の市にただ一人で出かけて、見比べもせずに買ってしまった絹は、買いそこないだったことよ。

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万葉集

今年行く新防人が麻衣
肩のまよひは誰れか取り見む

今年出発して行く新しい防人の麻の衣の、肩のほつれは、いったい誰が手に取って繕ってくれるのだろうか。

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万葉集

大船を荒海に漕ぎ出でや船たけ
我が見し子らがまみはしるしも

大船を荒海に漕ぎ出して、さあ船を進めよ。私が見たあの子の目もとは、はっきりと目に浮かぶ。

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万葉集

子らが手を巻向山は常にあれど
過ぎにし人に行きまかめやも

巻向山は昔と変わらずにあるけれども、亡くなってしまった人のもとに行って、その手を枕にすることなどできようか。

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万葉集

巻向の山辺響みて行く水の
水沫のごとし世の人我れは

巻向の山のあたりに音を響かせて流れて行く水の泡のようなものだ。この世に生きる人である私は。

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万葉集

こもりくの泊瀬の山に照る月は
満ち欠けしけり人の常なき

泊瀬の山に照る月は、満ちたり欠けたりしてきたのだった。人の身が無常であるように。

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万葉集

遠くありて雲居に見ゆる妹が家に
早く至らむ歩め黒駒

遠く離れていて、雲のかなたに見える妻の家に早く着こう。歩め、黒馬よ。

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万葉集

今作る斑の衣面影に
我れに思ほゆいまだ着ねども

今作っているまだら模様の衣が、面影となって私の目に浮かんでくる。まだ着てはいないけれど。

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万葉集

紅に衣染めまく欲しけども
着てにほはばか人の知るべき

紅色に衣を染めたいと思うけれど、それを着て色が照り映えたなら、人が知ってしまうだろうか。

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万葉集

かにかくに人は言ふとも織り継がむ
我が機物の白麻衣

あれこれと人は言っても、私は織り続けよう。私の機で織っている白い麻の衣を。

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万葉集

あぢ群のとをよる海に舟浮けて
白玉採ると人に知らゆな

あじ鴨の群れが波にたわむように揺れ寄る海に舟を浮かべて、白玉を採ろうとしていると人に知られるな。

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万葉集

をちこちの磯の中なる白玉を
人に知らえず見むよしもがも

あちこちの磯の中にある白玉を、人に知られずに見る手立てがあればよいのに。

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万葉集

海神の手に巻き持てる玉故に
磯の浦廻に潜きするかも

海の神が手に巻いて持っている玉のために、磯の浦のあたりで潜って探していることよ。

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万葉集

海神の持てる白玉見まく欲り
千たびぞ告りし潜きする海人

海の神が持っている白玉を見たいと思って、千度も祈りの言葉を口にしたのだ、潜って漁をする海人は。

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