万葉集 - 藤原宇合
山科の石田の小野のははその林を見ながら、あなたは今ごろ山道を越えているのだろうか。
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山科の石田の杜に幣を手向けたならば、もしかすると愛しい妻にじかに逢えるだろうか。
万葉集 - 碁師
大葉山には霞がたなびき、夜も更けてきた。私の舟を泊めようにも、泊まる所がわからないことよ。
心ひかれながらここまで来たけれども、先へ進みかねて、三尾の崎の真長の浦を、また振り返って見てしまった。
万葉集 - 小弁
高島の安曇の港を漕ぎ過ぎて、今ごろは塩津や菅浦のあたりを漕いでいるだろうか。
万葉集 - 伊保麻呂
三重の川原の岩陰で、いつまでもこうしていたいと鳴いている河鹿であることよ。
万葉集 - 式部大倭
山が高いので、白い木綿の花のように激しく流れ落ちる夏身の川の渡り場は、いくら見ても見飽きないことよ。
万葉集 - 兵部川原
大滝を過ぎて夏身に近づき、清らかな川の瀬を見ることのすがすがしさよ。
万葉集 - 高橋虫麻呂(虫麻呂歌集所出)
門口に男が来て立つと、夜中であっても、わが身のことなど顧みずに出て行って逢ったのだった。
常世の国にずっと住んでいられたものを、自分の心がけのせいで、なんと愚かなことよ、この人は。
大橋のたもとに私の家があったなら、いとしくも独りで行くあの娘に宿を貸してやるのに。
那賀の里に向かい合う曝井の水が絶えないように、絶えず通おう。そこに妻がいてくれたらよいのに。
遠く離れた妻がこの多賀にいるのなら、道を知らなくても、手綱の浜の名のように尋ねて来るだろうに。
私の旅は七日を過ぎはしない。竜田彦よ、決してこの花を風で散らさないでくれ。
時間があるなら、水に浸りながら川を渡って、向かいの峰の桜の花も手折るのに。
行き逢いの坂のふもとに枝もたわむほど咲いている桜の花を、見せてやれる娘がいればよいのに。