万葉集 - 柿本人麻呂
今朝出かけて行って明日には帰って来ようと(三句は訓みが定まらない)、朝妻山に霞がたなびいている。
詳細を見る
愛しい娘の名として口にかけるのにふさわしい朝妻の、片側が山になった崖に霞がたなびいている。
万葉集
草木がなびく春がやって来たらしい。我が家の門の柳の梢で、鴬が鳴いた。
梅の花が咲いている岡のほとりに住んでいるので、鴬の声を聞くことも少なくはない。
春霞が流れていくのにつれて、青柳の枝をくわえて鴬が鳴いている。
我が夫を越えさせるなという名の莫越の山の呼子鳥よ、あの方を呼び返しておくれ。夜が更けてしまわないうちに。
朝の堰に来て鳴く貌鳥よ、お前でさえもあの方を恋しく思うのか、時を限らず鳴き続けている。
冬ごもりの季節が過ぎて春がやって来ると、山にも野にも鴬が鳴いている。
紫草が根を張る横野の春の野では、あなたのことを心にかけるように鴬が鳴いている。
春になると妻を求めようとして、鴬が梢から梢へと伝いながら、むやみに鳴いている。
春日にある羽がいの山から佐保のあたりへと、鳴きながら飛んで行くのは誰を呼ぶ呼子鳥なのだろう。
答えてくれる人もいないのに、そんなに呼び立てて響かせるな、呼子鳥よ。佐保の山辺を上ったり下ったりしながら。
春の山の近くに住んでいるので、あなたは絶えず聞いているのだろう、鴬の声を。
春がやって来ると、篠竹の先に尾羽を打ち触れながら、鴬が鳴いている。
朝霧にしっとりと濡れて、呼子鳥が三船の山から鳴きながら飛び渡って行くのが見える。
春がやって来たというのに、それでもなお空の雲は一面に曇って、雪が降り続いている。