万葉集
梅の花に降り覆っている雪を包んで持ち、あなたに見せようと手に取ると、消えていってしまう。
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梅の花は咲いて散り、盛りは過ぎてしまった。それなのに、白雪が庭にしきりに降り続いている。
今さら雪が降るだろうか、いや降りはしないだろう。陽炎の燃え立つ春になってしまったのだから。
風に交じって雪は降り続いている。それでもやはり霞がたなびいて、春はやって来たのだった。
山あいで鴬が鳴いて、春が来たと思うのだが、雪がしきりに降っている。
峰の上に降り積もった雪が、風とともにここに散ってくるらしい。季節はもう春ではあるけれども。
あなたのために山の田のほとりの沢でえぐを摘もうとして、雪解けの水に裳の裾が濡れてしまった。
梅の枝で鳴きながら枝から枝へ移っていく鴬の羽を、真っ白にするほど泡雪が降っている。
山が高いので降ってくる雪を、梅の花が散ってくるのかと思ったことだ。
雪をさしおいて梅を恋しがりなさるな。山に寄り添って住まいをしているあなたよ。
つい昨日、年は終わったばかりなのに、春霞が春日の山にもう立ちこめていることだ。
冬が過ぎて春がやって来たらしい。朝日のさす春日の山に霞がたなびいている。
鴬の鳴く春になったらしい。春日山に霞がたなびいている。夜目に見るのだけれど。
霜に枯れていた冬の柳は、見る人が髪飾りにできるほどに芽吹いてきたことだ。
薄緑色に染めた糸を掛けたのかと見えるほどに、春の柳は芽吹いたことだ。
山あいには雪が降り続いている。それなのに、この川楊は芽吹いたことだ。