古典和歌stream

万葉集

春されば卯の花ぐたし我が越えし
妹が垣間は荒れにけるかも

春になると卯の花を踏みしだいて私が越えて行った恋人の家の垣根の間は、今は荒れてしまったことだ。

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万葉集

梅の花咲き散る園に我れ行かむ
君が使を片待ちがてり

梅の花が咲いては散る園に私は出かけよう。あなたからの使いをひたすら待ちがてら。

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万葉集

藤波の咲く春の野に延ふ葛の
下よし恋ひば久しくもあらむ

藤の花が波のように咲く春の野に這う葛の根が地下に伸びるように、心の中でひそかに恋い続けるなら、長くかかることだろう。

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万葉集

春の野に霞たなびき咲く花の
かくなるまでに逢はぬ君かも

春の野に霞がたなびき、花が咲いて、このようになるまで逢ってくれないあなたであることよ。

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万葉集

我が背子に我が恋ふらくは奥山の
馬酔木の花の今盛りなり

私があなたを恋い慕う思いは、奥山の馬酔木の花のように、今が盛りである。

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万葉集

梅の花しだり柳に折り交へ
花に供へば君に逢はむかも

梅の花をしだれ柳に折り交ぜて、花として供えたならば、あなたに逢えるだろうか。

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万葉集

をみなへし佐紀野に生ふる白つつじ
知らぬこともち言はえし我が背

佐紀野に生える白つつじのように、知らないことを口実にして人に噂されたあなたよ。

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万葉集

梅の花我れは散らさじあをによし
奈良なる人も来つつ見るがね

梅の花を私は散らすまい。奈良にいるあの人もやって来ては見てくれるだろうから。

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万葉集

かくしあらば何か植ゑけむ山吹の
やむ時もなく恋ふらく思へば

こうなるのだったら、どうして山吹を植えたのだろうか。やむ時もなく恋しく思うことを考えると。

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万葉集

春されば水草の上に置く霜の
消につつも我れは恋ひわたるかも

春になると水草の上に置く霜がすぐ消えていくように、消え入るような思いをしながらも、私は恋い続けることだ。

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万葉集

春霞山にたなびきおほほしく
妹を相見て後恋ひむかも

春霞が山にたなびいてぼんやりしているように、ほのかにあの子を見ただけで、後にはきっと恋しく思うことだろう。

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万葉集

春霞立ちにし日より今日までに
我が恋やまず本の繁けば

春霞が立った日から今日まで、私の恋はやむことがない。根元がしきりに茂っているので。

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万葉集

さ丹つらふ妹を思ふと霞立つ
春日もくれに恋ひわたるかも

頬の赤く美しいあの子を思うとして、霞の立つ春の日も心が暗くなるほどに、恋い続けることだ。

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万葉集

たまきはる我が山の上に立つ霞
立つとも居とも君がまにまに

我が家の山の上に立つ霞のように、立つにしても座るにしても、すべてあなたの思うままに従おう。

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万葉集

見わたせば春日の野辺に立つ霞
見まくの欲しき君が姿か

見渡すと春日の野辺に立っている霞のように、いつまでも見ていたいと思うあなたの姿であることよ。

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万葉集

恋ひつつも今日は暮らしつ霞立つ
明日の春日をいかに暮らさむ

恋しく思いながらも今日は何とか過ごした。霞の立つ明日の春の日を、どのようにして過ごしたらよいのだろう。

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