古典和歌stream

万葉集

我が背子に恋ひてすべなみ春雨の
降るわき知らず出でて来しかも

あなたが恋しくてどうしようもなく、春雨が降っているのもかまわずに、家を出てやって来たことだ。

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万葉集

今さらに君はい行かじ春雨の
心を人の知らずあらなくに

今さらあなたは出て行きはしないだろう。春雨の心、あなたを引き留めようと降る雨の心を、人が知らないわけではないのだから。

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万葉集

春雨に衣はいたく通らめや
七日し降らば七日来じとや

春雨で衣がひどく濡れ通ることなどあるだろうか。それなのに七日降ったら七日来ないというのか。

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万葉集

梅の花散らす春雨いたく降る
旅にや君が廬りせるらむ

梅の花を散らす春雨がひどく降っている。旅先であなたは仮の宿りをしているのだろうか。

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万葉集

国栖らが春菜摘むらむ司馬の野の
しばしば君を思ふこのころ

国栖の人々が春菜を摘んでいるだろう司馬の野の、その名のように、しばしばあなたを思うこのごろである。

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万葉集

春草の繁き我が恋大海の
辺に行く波の千重に積もりぬ

春の草のように茂る私の恋は、大海の岸辺に寄せていく波のように、幾重にも積もってしまった。

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万葉集

おほほしく君を相見て菅の根の
長き春日を恋ひわたるかも

ぼんやりとほのかにあなたを見ただけで、菅の根のように長い春の日を恋い続けることだ。

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万葉集

梅の花咲きて散りなば我妹子を
来むか来じかと我が松の木ぞ

梅の花が咲いて散ってしまったならば、恋しいあの子が来るか来ないかと、私が待つ、その松の木なのだ。

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万葉集

白真弓今春山に行く雲の
行きや別れむ恋しきものを

今、春の山に流れて行く雲のように、行き別れてしまうのだろうか。こんなにも恋しいのに。

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万葉集

大夫の伏し居嘆きて作りたる
しだり柳のかづらせ我妹

立派な男子である私が、伏したり座ったりして嘆きながら作ったしだれ柳のかづらを、髪飾りにしておくれ、我が妻よ。

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万葉集

朝戸出の君が姿をよく見ずて
長き春日を恋ひや暮らさむ

朝、戸を出て帰って行くあなたの姿をよく見ないままに、長い春の日を恋しく思いながら過ごすことになるのだろうか。

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万葉集

春山の馬酔木の花の悪しからぬ
君にはしゑや寄そるともよし

春山の馬酔木の花のように、悪くはないあなたとなら、ええままよ、噂を立てられてもかまわない。

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万葉集

石上布留の神杉神びにし
我れやさらさら恋にあひにける

石上の布留の神杉のように年を経て古びてしまった私が、今さらまた恋に出会ったことだ。

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万葉集

さのかたは実にならずとも花のみに
咲きて見えこそ恋のなぐさに

さのかたの木が実にならなくても、せめて花だけでも咲いて見せておくれ。恋の慰めとして。

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万葉集

さのかたは実になりにしを今さらに
春雨降りて花咲かめやも

さのかたはもう実になってしまったのに、今さら春雨が降ったところで花が咲くだろうか、いや咲きはしない。

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万葉集

梓弓引津の辺なるなのりその
花咲くまでに逢はぬ君かも

引津のあたりのなのりそに花が咲くほど長い間、逢ってくれないあなたであることよ。

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