古典和歌stream

大和物語

かくれにし月はめぐりていでくれど
影にも人は見えずぞありける

隠れていた月はめぐって出てきたけれど、その光の中にも、あの人の姿は見えないのだった。

詳細を見る

大和物語

ぬぐをのみ悲しと思ひしなき人の
かたみの色はまたもありけり

脱ぐことばかりを悲しいと思っていたが、亡き人を偲ぶ形見の色は、またあったのだった。

詳細を見る

大和物語

小倉山峰のもみぢ葉心あらば
いまひとたびのみゆき待たなむ

小倉山の峰の紅葉よ、もし心があるならば、もう一度の行幸を待っていてほしい。

詳細を見る

大和物語

散りぬればくやしきものを大井川
岸の山吹今日さかりなり

散ってしまえば悔しいものを、大井川の岸の山吹は、今日こそ盛りである。

詳細を見る

大和物語

くやしくぞのちにあはむと契りける
今日をかぎりと言はましものを

悔しいことに、のちに逢おうと約束してしまった。今日を最後だと言えばよかったものを。

詳細を見る

大和物語

ゆく人はそのかみ来むといふものを
心細しや今日の別れは

旅立つ人は、そのうち帰って来ようと言うものなのに。心細いことだ、今日の別れは。

詳細を見る

大和物語

ももしきのたもとの数は見しかども
わきて思ひの色ぞ恋しき

宮中の袂の数は多く見たけれど、とりわけ思いの色をした人が恋しい。

詳細を見る

大和物語

あまの川空なるものと聞きしかど
わが目のまへのなみだなりけり

天の川は空にあるものと聞いていたけれど、私の目の前の涙であったのだ。

詳細を見る

大和物語

世をわぶるなみだ流れてはやくとも
あまの川にはさやはなるべき

世をつらく思う涙が流れて速いとしても、天の川に、そうたやすくなってよいものだろうか。

詳細を見る

大和物語

恋しさに死ぬるいのちを思ひいでて
問ふ人あらばなしとこたへよ

恋しさのために死んでしまったこの命を思い出して、尋ねる人があったなら、もういないと答えてください。

詳細を見る

大和物語

からにだにわれ来たりてへ露の身の
消えばともにと契りおきてき

せめて亡骸にでも、私が来たと伝えてください。露の身が消えるなら共にと、約束しておいたのだから。

詳細を見る

大和物語

すみぞめの鞍馬の山に入る人は
たどるたどるもかへり来ななむ

墨染めの衣で鞍馬の山に入っていった人は、手探りしながらでも帰ってきてほしい。

詳細を見る

大和物語

からくして思ひわするる恋しさを
うたて鳴きつるうぐひすの声

やっとのことで忘れかけた恋しさを、いやに思い起こさせるうぐいすの声だ。

詳細を見る

大和物語

さても君わすれけりしかうぐひすの
鳴くをりのみや思ひいづべき

それではあなたは忘れていらしたのですか。うぐいすの鳴くときだけ思い出すというのですか。

詳細を見る

大和物語

わがためにつらき人をばおきながら
なにの罪なき世をや恨みむ

私にとってつらい相手を差し置いて、どうして何の罪もない世の中を恨んだりしようか。

詳細を見る

大和物語

荻の葉のそよぐごとにぞ恨みつる
風にうつりてつらき心を

荻の葉がそよぐたびに恨んだことだ。風になびいて移り変わる、あなたのつれない心を。

詳細を見る