古典和歌stream

大和物語

あさくこそひとは見るらめ関川の
絶ゆる心はあらじとぞ思ふ

浅いものと人は見るのだろう。だが関川の水が絶えないように、あなたを思う心が絶えることはあるまいと思う。

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大和物語

関川の岩間をくぐるみづ浅み
絶えぬべくのみ見ゆる心を

関川の岩間をくぐる水が浅いので、今にも絶えてしまいそうにばかり見える、そのお心を。

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大和物語

夜な夜なにいづと見しかどはかなくて
入りにし月といひてやみなむ

夜ごとに出るとは見たけれど、はかなく沈んでしまった月だと言って、終わりにしよう。

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大和物語

忘らるる身はわれからのあやまちに
なしてだにこそ君を恨みね

忘れられるこの身は、自分自身の過ちのせいだとしてこそ、あなたを恨まずにいられるのです。

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大和物語

ゆゆしくもおもほゆるかな人ごとに
うとまれにける世にこそありけれ

不吉にも思われることだ。どの人からも疎まれてしまう世であったのだなあ。

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大和物語

忘らるるときはの山の音をぞなく
秋野の虫の声にみだれて

忘れられて、常磐の山で声を上げて泣いている。秋の野の虫の声に乱れて。

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大和物語

なくなれどおぼつかなくぞおもほゆる
声聞くことの今はなければ

泣くと聞いてもおぼつかなく思われる。その声を聞くことが今はないので。

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大和物語

雲居にてよをふるころはさみだれの
あめのしたにぞ生けるかひなき

宮中で日を過ごすこのごろは、五月雨の降る天の下で、生きる甲斐もない。

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大和物語

ふればこそ声も雲居に聞えけめ
いとどはるけきここちのみして

泣き続けてきたからこそ、声も雲居に聞こえたのでしょう。ますます遠く隔たった心地ばかりがして。

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大和物語

あふことの願ふばかりになりぬれば
ただにかへしし時ぞ恋しき

逢うことをただ祈るばかりになってしまったので、何もせずにそのまま帰した、あのころが恋しい。

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大和物語

かりそめに君がふし見し常夏の
ねもかれにしをいかで咲きけむ

かりそめにあなたが臥して眺めた常夏の、根も枯れてしまったのに、どうして咲いていたのだろう。

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大和物語

わが乗りしことをうしとや消えにけむ
草にかかれる露のいのちは

私が乗ったことをつらいと思って消えてしまったのだろうか。草にかかる露のようなはかない命は。

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大和物語

大空は曇らずながらかんな月
年のふるにも袖はぬれけり

大空は曇ってもいないのに、神無月のこと、年が経つにつれても袖は濡れるのだった。

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大和物語

この世にはかくてもやみぬわかれ路の
淵瀬をたれに問ひてわたらむ

この世ではこうして終わってしまった。あの世の別れ路の淵瀬を、誰に尋ねて渡ればよいのだろう。

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大和物語

こち風は今日ひぐらしに吹くめれど
雨もよにはたよにもあらじな

東風は今日一日中吹いているようだが、雨もまさか、夜にはもう降らないだろう。

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大和物語

むかし着てなれしをすれるころも手を
あなめづらしとよそに見しかな

昔から着慣れていた摺衣の袖を、まあ珍しいと、他人ごとのように眺めたことだ。

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