大和物語
浅いものと人は見るのだろう。だが関川の水が絶えないように、あなたを思う心が絶えることはあるまいと思う。
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関川の岩間をくぐる水が浅いので、今にも絶えてしまいそうにばかり見える、そのお心を。
夜ごとに出るとは見たけれど、はかなく沈んでしまった月だと言って、終わりにしよう。
忘れられるこの身は、自分自身の過ちのせいだとしてこそ、あなたを恨まずにいられるのです。
不吉にも思われることだ。どの人からも疎まれてしまう世であったのだなあ。
忘れられて、常磐の山で声を上げて泣いている。秋の野の虫の声に乱れて。
泣くと聞いてもおぼつかなく思われる。その声を聞くことが今はないので。
宮中で日を過ごすこのごろは、五月雨の降る天の下で、生きる甲斐もない。
泣き続けてきたからこそ、声も雲居に聞こえたのでしょう。ますます遠く隔たった心地ばかりがして。
逢うことをただ祈るばかりになってしまったので、何もせずにそのまま帰した、あのころが恋しい。
かりそめにあなたが臥して眺めた常夏の、根も枯れてしまったのに、どうして咲いていたのだろう。
私が乗ったことをつらいと思って消えてしまったのだろうか。草にかかる露のようなはかない命は。
大空は曇ってもいないのに、神無月のこと、年が経つにつれても袖は濡れるのだった。
この世ではこうして終わってしまった。あの世の別れ路の淵瀬を、誰に尋ねて渡ればよいのだろう。
東風は今日一日中吹いているようだが、雨もまさか、夜にはもう降らないだろう。
昔から着慣れていた摺衣の袖を、まあ珍しいと、他人ごとのように眺めたことだ。