古典和歌stream

万葉集

五月山花橘に霍公鳥
隠らふ時に逢へる君かも

五月の山の花橘にほととぎすが隠れて鳴くころに、ようやく逢えたあなたであることよ。

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万葉集

霍公鳥来鳴く五月の短夜も
ひとりし寝れば明かしかねつも

ほととぎすが来て鳴く五月の短い夜も、ひとりで寝ると、明かしかねることだ。

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万葉集

ひぐらしは時と鳴けども片恋に
たわや女我れは時わかず泣く

ひぐらしは決まった時を定めて鳴くけれども、片思いのために、か弱い女の私は時の区別もなく泣いている。

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万葉集

人言は夏野の草の繁くとも
妹と我れとし携はり寝ば

人の噂は夏の野の草のように繁くとも、かまいはしない。あの子と私とが手を取り合って寝るのなら。

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万葉集

このころの恋の繁けく夏草の
刈り掃へども生ひしくごとし

このごろの恋の思いの絶え間ないことは、夏草が刈り払っても刈り払っても、次々と生い茂ってくるようなものだ。

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万葉集

ま葛延ふ夏野の繁くかく恋ひば
まこと我が命常ならめやも

葛の這う夏の野の茂りのように、こんなに絶え間なく恋い続けたならば、本当に私の命は無事でいられようか。

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万葉集

我れのみやかく恋すらむかきつはた
丹つらふ妹はいかにかあるらむ

私だけがこのように恋しく思っているのだろうか。杜若のように頬の美しいあの子は、どう思っているのだろう。

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万葉集

片縒りに糸をぞ我が縒る我が背子が
花橘を貫かむと思ひて

片縒りに糸を私は縒っている。あの方の家の花橘を、この糸に通そうと思って。

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万葉集

鴬の通ふ垣根の卯の花の
憂きことあれや君が来まさぬ

鴬の行き来する垣根の卯の花ではないが、何か憂いことでもあるのだろうか、あなたがおいでにならないのは。

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万葉集

卯の花の咲くとはなしにある人に
恋ひやわたらむ片思にして

卯の花が咲くようには心を開いてくれない人に、恋い続けるのだろうか、片思いのままで。

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万葉集

我れこそば憎くもあらめ我がやどの
花橘を見には来じとや

私のことこそ憎く思っているのでしょう。けれども、我が家の花橘を見にさえ来ないというのですか。

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万葉集

霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる
藤波見には君は来じとや

ほととぎすが来て鳴き響かせる岡のあたりの藤の花を見には、あなたは来ないというのですか。

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万葉集

隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの
花に咲き出よ朝な朝な見む

心に秘めてばかり恋い慕っていると苦しい。なでしこの花となって咲き出ておくれ。毎朝それを見よう。

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万葉集

外のみに見つつ恋ひなむ紅の
末摘花の色に出でずとも

よそながら見るだけで恋い続けよう。紅の末摘花のように、はっきり色に出して示さなくとも。

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万葉集

夏草の露別け衣着けなくに
我が衣手の干る時もなき

夏草の露を分けて行く時の衣を着ているわけでもないのに、私の袖は乾く時もない。

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万葉集

六月の地さへ裂けて照る日にも
我が袖干めや君に逢はずして

六月の、大地さえ裂けるほど照りつける日の光にも、私の袖は乾くだろうか、いや乾きはしない。あなたに逢わないでいては。

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