万葉集
南淵山では、今日もまた白露が置いて、黄葉が散っているのだろうか。
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我が家の浅茅が色づいている。吉隠の夏身のあたりには、しぐれが降っているらしい。
雁が寒々と鳴いてからというもの、岡の葛の葉は色づいたことだ。
秋萩の下葉の紅葉が花に続いて、その時節が過ぎていったならば、後で恋しく思うことだろうか。
明日香川に黄葉が流れている。葛城の山の木の葉は今まさに散っているらしい。
恋人の衣の紐を解くと結ぶ、その「たつ」という名の龍田山は、今まさに紅葉し始めたことだ。
雁が寒々と鳴いてからというもの、春日にある御笠の山は色づいたことだ。
このごろの明け方の露に、我が家の秋の萩原は色づいたことだ。
夕方になると雁が越えて行く龍田山は、しぐれと競い合うように色づいたことだ。
夜が更けてから、しぐれよ降らないでおくれ。秋萩の根もとの葉の紅葉が散るのは惜しいから。
故郷の初紅葉を手折って持って、今日私はやって来た。まだ見ていない人のために。
あなたの家の黄葉は早くも散ってしまった。しぐれの雨に濡れたらしい。
一年に二度とは訪れることのない秋の山を、心ゆくまで見ずに過ごしてしまったことだ。
山の田を作る人よ、稲の穂がまだ出ていなくとも、せめて縄だけでも張っておけ。番をしていると人にわかるように。
雄鹿が妻を呼んで鳴く山の岡辺にある早稲田は刈るまい。霜は降ったとしても。
我が家の門前で番をしている田を見ると、佐保のあたりの秋萩やすすきが思い出されることだ。