新古今和歌集 - 源経信
早苗を取る山田の懸樋が漏っていたのだった。引き渡した標縄に、その雫がこぼれかかっている。
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新古今和歌集 - 藤原良経
小山田に引き渡した標縄が、長く続いたまま朽ちてしまったのだろうか。五月雨の降り続くころに。
新古今和歌集 - 伊勢大輔
どれほど田人の裳裾も濡れそぼっていることだろう。雲の切れ間も見えないころの五月雨に。
三島江の入江の真菰は、雨が降るのでいっそう萎れて、刈る人もいない。
新古今和歌集 - 大江匡房
真菰を刈る淀の沢の水は深いけれども、その底まで月の光は澄み通っていたのだった。
新古今和歌集 - 藤原基俊
玉柏が茂ったことだなあ。五月雨のうちに、葉守の神が標縄を張り渡すほどまで。
新古今和歌集 - 藤原兼実
五月雨のために、麻生の川原の真菰草は、刈られないまま波の下で朽ちてしまうのだろうか。
新古今和歌集 - 藤原定家
道を行く人に託す言伝てさえも絶えて、日数が経っていく五月雨の空よ。
新古今和歌集 - 荒木田氏良
五月雨の雲の絶え間を眺め続けて、窓から西のほうに月を待っていることだ。
新古今和歌集 - 藤原忠良
楝の咲く家の外の木陰に露が落ちて、五月雨の晴れる風が渡っていくようだ。
五月雨のころ、月は素知らぬさまで出てこない。その深山から、ただ一羽で出てくる時鳥であることだ。
新古今和歌集 - 後鳥羽院
時鳥は遠い空の彼方を過ぎていったようだ。晴れることのない思いを抱えた、五月雨のころに。
新古今和歌集 - 二条院讃岐
五月雨の雲間の月が晴れていくのを、しばらく待っていたのだった。その時鳥であることだ。
新古今和歌集 - 藤原俊成
いったい誰がまた、花橘の香によって私を思い出すだろうか。私もまた昔の人となってしまったならば。
新古今和歌集 - 源通具
行く末を誰に偲べといって、夕風の中で香りを約束するのだろうか、この家の橘は。
新古今和歌集 - 式子内親王
帰って来ない昔を今のことと思いながら寝入った、その夢の枕もとに香る橘よ。