万葉集 - 大伴家持
私の恋の重さは、千人で引くほどの大岩を七つほども首に懸けるようなものだが、それも神の御心のままだ。
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夕方になったら、戸を開けて用意して私は待とう。夢の中に逢いに来ると言うあの人を。
朝も夕も逢っている時でさえ、いとしいあの人は、見ても見ていないかのように、やはり恋しいのだろう。
生きてきたこれまでに、私はまだ見たことがない。言葉にならないほど、これほど見事に縫った袋は。
いとしいあの人の形見の衣を下に着て、じかに逢うまでは、私は脱ぐことがあろうか。
恋い死にするのも、人目や噂で死ぬのも同じことだ。どうして人目や人の噂を気にしていられようか。
せめて夢にでも見えるのならばまだよいが、これほどまでに見えないのは、恋い焦がれて死ねということか。
あきらめて気落ちしていたのに、かえってどうして、こんなに苦しい思いで逢いはじめてしまったのだろう。
逢ってからまだ幾日も経たないのに、これほどまでに狂おしいほど恋しく思われることだ。
これほど面影にばかり浮かんで思われるならば、どうしたらよいのだろう。人目が多くて逢えないのに。
逢ったならば、しばらくは恋心も静まるだろうかと思ったけれど、ますます恋しさがつのることだ。
夜明け前のほの暗いころに私が出て来ると、いとしいあの人が思い沈んでいた様子が、面影に浮かんで見える。
夜明け前に出て来ることがたび重なると、私の胸は切り裂かれ焼かれるように苦しい。
万葉集 - 大伴田村大嬢
離れていて恋しく思うのは苦しい。いとしい妹よ、続けて逢えるように手立てを考えてほしい。
遠くにいるのならば、気落ちしながらも過ごしていられようが、里近くにいると聞きながら逢えないのがやるせない。
白雲のたなびく高い山のように、背伸びをして待ち望むほどに私が思う妹に、逢う手立てがあればよいのに。