万葉集 - 大伴家持
鶉の鳴く古びた里から思っているけれども、どうしてあなたに逢う手立てもないのだろう。
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万葉集 - 紀女郎
先に言い出したのは誰の言葉だったのか。山田の苗代の水が途中で淀むように、途中で途絶えてしまって。
いとしいあなたの家の垣根を見に行ったならば、もしかしたら門から追い返されてしまうだろうか。
ひたすら垣根の姿を見たいと思って行こうと言っているのだろうか。いや、あなたを見にこそ行くのだ。
板葺きの黒木の屋根の材料は、山が近いので、明日にでも取って持って参りましょう。
黒木を取り、萱も刈りながらお仕えしても、よく働く者だとほめてくださりそうにもない。
ゆうべは私を帰した。今夜までも私を帰さないでくれ。長い道のりなのだから。
風が激しく岸辺に吹いているけれども、あなたのために、袖まで濡らして刈った玉藻なのだ。
おととしの、そのまた前の年から今年まで恋い続けているのに、どうしてあの人に逢うのはこんなにむずかしいのだろう。
現実では、とても言うこともできない。せめて夢の中ででも、あの人の袂を枕にして寝ると見たならば。
わが家の庭の草の上に白く置く露のようにはかない身も、惜しくはない。あの人に逢わずにいるので。
春の雨はますますしきりに降るのに、梅の花がまだ咲かないのは、木がとても若いからだろうか。
夢のように思われることだ。いとしいあなたからの使いがたびたび通って来るので。
まだ若くて花の咲きにくい梅を植えて、人の噂がうるさいので、私は思い悩んでいる。
心がふさぐように思われることだ。春霞のたなびく時に、言葉が通って来るので。
春風の音のように、はっきりと言葉に出したならば、時が経って、今でなくても、あなたの思いのままにしよう。