- 表題
- -
- 千載和歌集
千載和歌集 - 源俊頼
憂かりける人を初瀬の山おろしよ
はげしかれとは祈らぬものを
つれなかったあの人を、私になびくようにと初瀬の観音に祈りはしたが、初瀬の山おろしよ、お前のように、あの人のつれなさがいっそう激しくなれとは祈らなかったのに。
千載和歌集 - 藤原顕季
嬉しくは後の心を神も聞け
引く標縄の絶えじとぞ思ふ
恋がかなって嬉しい思いをさせてくださるならば、その後の私の心を神もお聞きください。引き張った注連縄が切れないように、この契りは決して絶えさせまいと思っている。
千載和歌集 - 藤原実国
潮垂るる伊勢をの海人や我ならん
さらばみるめを刈るよしもがな
潮に濡れてしずくを垂らす伊勢の海人とは、涙に濡れる私のことなのだろうか。そうであるならば、海松布を刈るように、あの人に逢う機会を得る手立てがあればよいのに。
千載和歌集 - 藤原実家
よしさらば逢ふと見つるに慰まん
覚むる現も夢ならぬかは
ええ、それならば、夢であの人に逢ったと見たことで心を慰めよう。夢から覚めたこの現実も、夢でないといえようか。いや、現実もまた夢なのだ。