- 表題
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- 千載和歌集
千載和歌集 - 殷富門院大輔
思ふこと忍ぶにいとど添ふものは
数ならぬ身の嘆きなりけり
恋しく思うことを人に知られまいと忍んでいるうえに、いっそう加わってくるものは、物の数にも入らない我が身の嘆きであったことだ。
千載和歌集 - 藤原兼実
行き返る心に人の馴るればや
逢ひ見ぬ先に恋しかるらん
あの人のもとへ行っては帰ってくる私の心に、あの人がすっかりなじんでしまったからだろうか。まだ逢ってもいないうちから、こんなにも恋しいのは。
千載和歌集 - 藤原家通
逢ふことをさりともとのみ思ふかな
ふしみの里の名を頼みつつ
逢うことを、いくらなんでもいつかはかなうだろうとばかり思っていることだ。臥して見ると響く伏見の里の名を頼みにしながら。
千載和歌集 - 藤原成家
恋をのみしぐるる空のうき雲は
曇りもあへず袖濡らしけり
恋の思いばかりを時雨のように降らせる空の、つらい浮き雲は、すっかり曇りきらないうちから、もう私の袖を濡らしてしまったことだ。
千載和歌集 - 藤原家実
磯隠れかきはやれども藻塩草
立ち来る波に現れやせん
磯に隠れて藻塩草をかき集めるように、人目を忍んで手紙を書いて送りはしたけれども、藻塩草が寄せてくる波に洗われて現れるように、人に知られてしまいはしないだろうか。
千載和歌集 - 尾張
誰ゆゑかあくがれにけん雲間より
見し月影はひとりならじを
あなたの心はいったい誰のためにさまよい出てしまったのだろう。雲の切れ間から見た月の光は、ひとりきりではなかったでしょうに。