- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - 在原業平
月やあらぬ春や昔の春ならぬ
我が身ひとつはもとの身にして
月は去年の月ではないのか。春は昔の春ではないのか。わが身ひとつだけはもとのままの身であって、すべてが変わってしまったように思われる。
古今和歌集 - 藤原仲平
花すすき我こそ下に思ひしか
ほに出でて人に結ばれにけり
花すすきのように、私こそ心の中でひそかに思っていたのに、あの人は穂が出るようにはっきりと表に出て、ほかの人と結ばれてしまった。
古今和歌集 - 藤原兼輔
よそにのみ聞かましものをおとは川
渡るとなしにみなれそめけむ
遠くから噂に聞くだけにしておけばよかったのに。音羽川を渡るというわけでもなく、どうしてあの人に見慣れ、親しみはじめてしまったのだろう。
古今和歌集 - 凡河内躬恒
我がごとく我を思はむ人もがな
さてもや憂きと世を試みむ
私があの人を思うように、私を思ってくれる人がいてほしいものだ。そうであってもやはり男女の仲はつらいものなのか、試してみたい。
古今和歌集 - よみ人しらず
見てもまたまたも見まくのほしければ
馴るるを人はいとふべらなり
会っても、また会いたい、さらに会いたいと思われるので、しきりに馴れ親しもうとするのを、あの人は嫌がっているようだ。
古今和歌集 - 紀友則
雲もなく凪ぎたる朝の我なれや
いとはれてのみ世をば経ぬらむ
雲もなく風も凪いだ朝のような私なのだろうか。朝がいかにも晴れているように、私はあの人に厭われてばかりで、この世を過ごしてきたのだろう。
古今和歌集 - よみ人しらず
花がたみめならぶ人のあまたあれば
忘られぬらむ数ならぬ身は
花かごの編み目が並ぶように、あの人には見比べる相手が大勢いるので、きっと忘れられてしまったのだろう。数にも入らないこの私は。
古今和歌集 - よみ人しらず
うきめのみ生ひて流るる浦なれば
かりにのみこそ海人は寄るらめ
浮き海藻ばかりが生えては流れていく浦なので、海人は刈りに来るだけ、ほんのかりそめに立ち寄るのだろう。つらい目ばかりの私のもとへ、あの人はかりそめにしか来ないのだろう。
古今和歌集 - よみ人しらず
須磨の海人の塩焼き衣をさをあらみ
まどほにあれや君が来まさぬ
須磨の海人が塩を焼くときに着る衣は、筬の目が粗いので織り目が間遠である。そのように私たちの仲も間遠になってしまったからか、あなたはおいでにならない。
古今和歌集 - よみ人しらず
あひ見ねば恋こそまされ水無瀬川
何に深めて思ひそめけむ
逢わずにいるので恋しさはますますつのる。水の少ない水無瀬川のように浅い縁なのに、どうしてこれほど深く思いはじめ、心を染めてしまったのだろう。