- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - よみ人しらず
水無瀬川ありて行く水なくはこそ
つひに我が身を絶えぬと思はめ
水無瀬川は表に水が見えなくても、底を流れていく水がある。その水がなくなったならばこそ、ついに私たちの仲が絶えたと思いもしよう。
古今和歌集 - 凡河内躬恒
吉野川よしや人こそつらからめ
はやく言ひてしことは忘れじ
吉野川の名のように、よしや、たとえあの人が冷たかろうとも、吉野川の流れが速いように、以前に言い交わした言葉を、私は忘れまい。
古今和歌集 - よみ人しらず
心こそうたて憎けれ染めざらば
移ろふことも惜しからましや
自分の心こそ、ひどく憎らしい。あの人に心を染めることさえなかったなら、あの人の心が移ろっていくのも惜しいだろうか。惜しくはないだろうに。
古今和歌集 - よみ人しらず
我のみや世をうぐひすとなきわびむ
人の心の花と散りなば
あの人の心の花が散ってしまったならば、私だけが、世の中をつらいと、花の散るのを惜しんで鳴く鶯のように、泣き嘆くことになるのだろうか。
古今和歌集 - 素性法師
思ふともかれなむ人をいかがせむ
飽かず散りぬる花とこそ見め
どれほど思っても離れていってしまう人を、どうしようか。どうしようもない。まだ見飽きないうちに散ってしまった花だと思って眺めることにしよう。
古今和歌集 - よみ人しらず
今はとて君がかれなば我が宿の
花をばひとり見てやしのばむ
もうこれまでと、あなたが私から離れていってしまったならば、わが家の花を、私はひとりで見ながらあなたを偲ぶことになるのだろうか。
古今和歌集 - 兼芸法師
秋の田のいねてふこともかけなくに
何を憂しとか人のかるらむ
秋の田の稲ではないが、「去ね」という言葉を口にしたこともないのに、何をつらいと思って、あの人は刈るように私から離れていくのだろう。
古今和歌集 - 紀貫之
初雁のなきこそ渡れ世の中の
人の心のあきし憂ければ
初雁が鳴きながら空を渡っていくように、私も泣きながら日々を過ごしている。男女の仲における人の心の秋、つまり私への飽きがつらいので。
古今和歌集 - よみ人しらず
身を憂しと思ふに消えぬものなれば
かくても経ぬる世にこそありけれ
わが身をつらいと思っても、それで消えてしまうわけではないものなので、こんなありさまでも、どうにか過ごしてきた世の中であったのだ。
古今和歌集 - 藤原直子
海人の刈る藻に住む虫のわれからと
音をこそなかめ世をば恨みじ
海人が刈る海藻に住む虫の「われから」の名のように、こうなったのは我から、自分のせいだと、声をあげて泣きはしても、あの人との仲を恨みはすまい。
古今和歌集 - 因幡
あひ見ぬも憂きも我が身のから衣
思ひ知らずも解くる紐かな
逢えないのも、つらいのも、わが身のせいだというのに、唐衣の紐は、そうとも知らずに、恋人に逢える前触れのように解けることだ。