万葉集
私の家の梅が咲いたと知らせてやったら、来いと言っているのと同じようだ。それならば梅は散ってしまってもかまわない。
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春になると枝もたわむほどに花が咲き茂り、鶯の鳴く私の庭であるよ。絶えず通っていらっしゃい。
万葉集 - 門部王
前もってあなたがおいでになると知っていたなら、門にも家にも玉を敷きつめておいただろうに。
万葉集 - 橘文成
一昨日も昨日も今日もお会いしたけれど、明日までもお会いしたいあなたであることよ。
万葉集 - 榎井王
玉を敷いて待っているよりも、思いがけずに来た今夜のほうが楽しく思われる。
海原の遠い渡りを越えて、風流な方々が遊ぶのを見ようと、波に漂いながらやって来たのだ。
万葉集 - 大伴坂上郎女
木綿畳を手向ける手向けの山を今日越えて、どこの野辺で仮の宿りをすることになるのだろうか、私は。
大崎の神の小浜は狭いけれども、多くの船人も素通りするとは言わないのに。
万葉集 - 巨曽倍対馬
長門の沖の借島のように、心の奥深くお慕いしているあなたは、千年も長生きしてほしいものだ。
万葉集 - 橘諸兄
心の奥深く私を思ってくれているあなたこそ、千年も五百年も生きていてくれないものか。
万葉集 - 豊島采女
大宮人は、今日もまた暇がないといって、里には出て来ないのだろうか。
橘の木の下の道を踏んで行く、幾筋にも分かれた辻のように、あれこれと物思いをすることだ。人に知られることもなく。
勇士たちが高円山で追い詰めたので、里に下りて来たむささびであるぞ、これは。
万葉集 - 大伴家持
河口の野辺に仮の宿りをして幾夜も経ると、妻の手枕が思われてならない。
万葉集 - 聖武天皇
妻を恋しく思って待つという名の吾の松原を見わたすと、潮の引いた干潟に鶴が鳴きながら飛んでいく。
万葉集 - 丹比屋主
後に残してきた人を思うことには、思泥の崎で木綿を取り垂らして、無事であれと祈るのだ。