古典和歌stream

万葉集

いにしへにありけむ人も我がごとか
三輪の桧原にかざし折りけむ

昔ここにいた人も、私と同じように、三輪の檜原で小枝を折って髪に挿したのだろうか。

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万葉集

行く川の過ぎにし人の手折らねば
うらぶれ立てり三輪の桧原は

流れ去る川のように過ぎ去ってしまった人が手折らないので、しおれたように立っている、三輪の檜原は。

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万葉集

み吉野の青根が岳の蘿むしろ
誰れか織りけむ経緯なしに

吉野の青根が岳の苔の敷物は、いったい誰が織ったのだろうか。縦糸も横糸もないのに。

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万葉集

妹らがり我が通ひ道の小竹すすき
我れし通はば靡け小竹原

恋しい人のもとへ私が通う道の篠やすすきよ、私が通るときには靡き伏してくれ、篠原よ。

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万葉集

山の際に渡るあきさの行きて居む
その川の瀬に波立つなゆめ

山の間を渡ってゆく秋沙鴨が、行って降り立つであろうその川の瀬に、波よ決して立ってくれるな。

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万葉集

佐保川の清き川原に鳴く千鳥
かはづと二つ忘れかねつも

佐保川の清らかな川原で鳴く千鳥は、河鹿とともに、二つながら忘れることができない。

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万葉集

佐保川に騒ける千鳥さ夜更けて
汝が声聞けば寐ねかてなくに

佐保川で鳴き騒いでいる千鳥よ、夜が更けてからおまえの声を聞くと、眠ることもできないのに。

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万葉集

清き瀬に千鳥妻呼び山の際に
霞立つらむ神なびの里

清らかな瀬で千鳥が妻を呼んで鳴き、山の間には霞が立っているだろう、あの神なびの里では。

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万葉集

年月もいまだ経なくに明日香川
瀬々ゆ渡しし石橋もなし

年月もまだそれほど経っていないのに、明日香川の瀬ごとに渡してあった飛び石も、もうなくなってしまった。

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万葉集

落ちたぎつ走井水の清くあれば
置きては我れは行きかてぬかも

激しく流れ落ちる走り井の水が清らかなので、それを後に残して私は立ち去りかねることだ。

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万葉集

馬酔木なす栄えし君が掘りし井の
石井の水は飲めど飽かぬかも

馬酔木の花のように栄えていたあの方が掘った井戸の、石で囲った井の水は、いくら飲んでも飽きることがない。

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万葉集

琴取れば嘆き先立つけだしくも
琴の下樋に妻や隠れる

琴を手に取ると、まず嘆きが先に立つ。ひょっとすると、琴の胴の空洞の中に妻が隠れているのだろうか。

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万葉集

神さぶる岩根こごしきみ吉野の
水分山を見れば悲しも

神々しく、岩がごつごつと険しい吉野の水分山を見ると、身にしみて心が動かされることだ。

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万葉集

皆人の恋ふるみ吉野今日見れば
うべも恋ひけり山川清み

誰もが恋い慕う吉野を今日見ると、なるほど皆が恋い慕ったのももっともだ。山も川も清らかなので。

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万葉集

夢のわだ言にしありけりうつつにも
見て来るものを思ひし思へば

夢のわだとは、名前だけのことだったのだ。現実に見て来たのだから。思いに思い続けていたので。

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万葉集

すめろきの神の宮人ところづら
いやとこしくに我れかへり見む

神である天皇の宮に仕える宮人の私は、ところづらのように、いよいよ永久に、この吉野を繰り返し訪れて見よう。

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