古典和歌stream

十六夜日記

もろともにめかり鹽やく浦ならば
なかなか袖になみはかけじを

一緒に海松布を刈り塩を焼く浦であったなら、かえって袖に波をかけることもないだろうに。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

おぼろなる月はみやこの空ながら
まだ聞かざりしなみのよるよる

朧にかすむ月は、都と同じ空にかかっているというのに、まだ聞いたことのなかった、波の寄せる夜々であることよ。

詳細を見る

十六夜日記

ねられじな都の月を身にそへて
なれぬまくらのなみのよるよる

眠れはしないでしょうね。都の月を身に添えたまま、慣れない枕の、波の寄せる夜々では。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

いかにしてしばし都をわすれ貝
なみのひまなくわれぞくだくる

どうにかしてしばらく都を忘れようと忘れ貝を拾うけれども、波の絶え間がないように、私の心も絶え間なく砕けるのだ。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

知らざりしうらやま風も梅が香は
みやこに似たる春のあけぼの

これまで知らなかった浦山風の中にあっても、梅の香においては都に似ている、春の曙よ。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

はなぐもりながめてわたる浦風に
かすみたゞよふはるの夜の月

花曇りの空を眺めて日を過ごす、その浦風の中に霞がただよう、春の夜の月よ。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

あづまぢの磯やま風のたえまより
なみさへ花のおもかげにたつ

東路の磯山風の絶え間から、波までもが花の面影となって立ちあらわれる。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

みやこ人おもひも出でばあづまぢの
花やいかにと音づれてまし

都の人が思い出しさえするならば、東路の花はどうかと便りをくださるだろうに。

詳細を見る

十六夜日記

賴むぞよしほひにひろふうつせ貝
かひある浪の立ちかへる世を

頼みにすることですよ。潮干に拾う空貝にも甲斐のある、その波が立ち返るような日の来ることを。

詳細を見る

十六夜日記

くらべ見よ霞のうちのはるの月
晴れぬこゝろはおなじながめを

比べてご覧なさい。霞の中の春の月を。晴れない心は、こちらも同じ眺めなのですから。

詳細を見る

十六夜日記

しら浪のいろもひとつにちる花を
思ひやるさへおもかげにたつ

白波の色も一つになって散る花を、遠くから思いやることまでもが、面影となって立ちあらわれる。

詳細を見る

十六夜日記

あづまぢのさくらを見ても忘れずば
みやこの花を人やとはまし

東路の桜をご覧になっても私をお忘れでないのなら、都の花はどうかと、そちらからお尋ねくださってもよいでしょうに。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

いたづらにあまの鹽やくけぶりとも
誰かは見まし風に消えなば

むなしく海人が塩を焼く煙だとも、いったい誰が見てくれるだろうか。風に消えてしまったならば。

詳細を見る

十六夜日記

消えもせじ和歌の浦ぢに年をへて
光をそふるあまのもしほ火

消えなどしないでしょう。和歌の浦路に長い年月を経て、その光を添えている、海人の藻塩火は。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

たのもしな身にそふ友となりにけり
たへなるのりの花のちぎりは

頼もしいことよ。身に添う友となったのだ、妙なる法の花との契りは。

詳細を見る

十六夜日記 - 阿仏尼

見し世こそかはらざるらめ暮れはてゝ
春より夏にうつる梢も

かつて見た都の世こそ変わっていないだろう。春がすっかり暮れて、春から夏へ移っていく梢のさまも。

詳細を見る