古典和歌stream

万葉集

嘆きせば人知りぬべみ山川の
たぎつ心を塞かへてあるかも

嘆いたら人がきっと知ってしまうので、山川のように激しく沸き立つ心を、せき止めているのだなあ。

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万葉集

水隠りに息づきあまり早川の
瀬には立つとも人に言はめやも

水の中に隠れているように心に秘めて、ため息をつききれないほど苦しくても、たとえ流れの速い川の瀬に立つような目にあおうとも、人に言うだろうか、言いはしない。

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万葉集

真鉋持ち弓削の川原の埋れ木の
あらはるましじきことにあらなくに

鉋を持って削るという弓削の川原の埋もれ木のように、いつまでも現れないはずのことではないのに。

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万葉集

大船に真楫しじ貫き漕ぎ出なば
沖は深けむ潮は干ぬとも

大船に左右の櫂をたくさん取り付けて漕ぎ出したならば、沖は深いだろう。たとえ潮が引いても。

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万葉集

伏越ゆ行かましものをまもらふに
うち濡らさえぬ波数まずして

伏越を通って行けばよかったものを、様子をうかがっているうちに、波に濡らされてしまった。波の数をよく数えもしないで。

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万葉集

石そそき岸の浦廻に寄する波
辺に来寄らばか言の繁けむ

岩に水をそそいで岸の浦のめぐりに寄せる波のように、そばに寄って来たならば、噂が激しくなるだろうか。

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万葉集

磯の浦に来寄る白波返りつつ
過ぎかてなくは誰れにたゆたへ

磯の浦に寄せて来る白波が引き返しては寄せて、通り過ぎかねているのは、誰のためにためらっているのか。

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万葉集

近江の海波畏みと風まもり
年はや経なむ漕ぐとはなしに

近江の海の波が恐ろしいからと、風の具合をうかがって、年を過ごしてしまうのだろうか。漕ぎ出すこともなくて。

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万葉集

朝なぎに来寄る白波見まく欲り
我れはすれども風こそ寄せね

朝なぎに寄せて来る白波を見たいと私は思うけれど、風が寄せてくれないことよ。

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万葉集

紫の名高の浦の真砂土
袖のみ触れて寝ずかなりなむ

紫の名高の浦の細かな砂地に、袖だけが触れて、寝ることもなく終わってしまうのだろうか。

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万葉集

豊国の企救の浜辺の真砂土
真直にしあらば何か嘆かむ

豊国の企救の浜辺の細かな砂土のように、あなたの心がまっすぐであるならば、どうして嘆こうか。

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万葉集

潮満てば入りぬる磯の草なれや
見らく少く恋ふらくの多き

潮が満ちると水に隠れてしまう磯の草なのだろうか。逢うことは少なく、恋しく思うことばかりが多いことよ。

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万葉集

沖つ波寄する荒磯のなのりそは
心のうちに障みとなれり

沖の波が打ち寄せる荒磯のなのりそは、心の中で差し障りとなっている。

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万葉集

紫の名高の浦のなのりその
磯に靡かむ時待つ我れを

紫の名高の浦のなのりそが磯に靡くように、あの人が私に靡く時を待っている私なのに。

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万葉集

荒磯越す波は畏ししかすがに
海の玉藻の憎くはあらずて

荒磯を越えて打ち寄せる波は恐ろしい。そうはいうものの、海の玉藻が憎いわけではなくて。

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万葉集

楽浪の志賀津の浦の舟乗りに
乗りにし心常忘らえず

楽浪の志賀津の浦で舟に乗るように、私の心に乗ってしまったあの人のことが、いつも忘れられない。

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