古典和歌stream

万葉集

百伝ふ八十の島廻を漕ぐ舟に
乗りにし心忘れかねつも

数多くの島々をめぐって漕いでゆく舟に乗るように、私の心に乗ってしまったあの人のことが忘れられないことよ。

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万葉集

島伝ふ足早の小舟風まもり
年はや経なむ逢ふとはなしに

島伝いに行く足の速い小舟が風の様子をうかがっているように、年は過ぎてしまうのだろうか。逢うということもなしに。

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万葉集

水霧らふ沖つ小島に風をいたみ
舟寄せかねつ心は思へど

水しぶきが霧のように立ちこめる沖の小島に、風が激しいので、舟を寄せることができないでいる。心では思っているけれど。

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万葉集

こと放けば沖ゆ放けなむ港より
辺著かふ時に放くべきものか

どうせ離すのなら、沖にいるうちに離してほしい。港から岸に着こうとするその時になって、離してよいものか。

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万葉集

鏡なす我が見し君を阿婆の野の
花橘の玉に拾ひつ

鏡のようにいつも私が見ていたあなたを、阿婆の野の花橘の実のような玉として拾ったことだ。

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万葉集

秋津野を人の懸くれば朝撒きし
君が思ほえて嘆きはやまず

秋津野のことを人が口にするので、朝に撒いたあなたのことが思われて、嘆きはやまない。

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万葉集

秋津野に朝居る雲の失せゆけば
昨日も今日もなき人思ほゆ

秋津野に朝かかっている雲が消えてゆくと、昨日も今日も亡き人のことが思われる。

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万葉集

隠口の泊瀬の山に霞立ち
たなびく雲は妹にかもあらむ

泊瀬の山に霞が立ち、たなびいている雲は、亡き妻であろうか。

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万葉集

たはことかおよづれことかこもりくの
泊瀬の山に廬りせりといふ

でたらめの言葉か、人を惑わす言葉か。あの人が泊瀬の山に仮の庵を結んでいるというのは。

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万葉集

秋山の黄葉あはれとうらぶれて
入りにし妹は待てど来まさず

秋の山の黄葉を心ひかれるものと思って、しょんぼりと山に入ってしまった妻は、待っても帰っていらっしゃらない。

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万葉集

世間はまこと二代はゆかざらし
過ぎにし妹に逢はなく思へば

この世は、まことに二度と生を繰り返すことはないらしい。死んでしまった妻に逢えないことを思うと。

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万葉集

幸はひのいかなる人か黒髪の
白くなるまで妹が声を聞く

どれほど幸せな人なのだろうか、黒髪が白くなるまで妻の声を聞いているのは。

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万葉集

我が背子をいづち行かめとさき竹の
そがひに寝しく今し悔しも

私の夫がどこへ行くものかと思って、背を向け合って寝たことが、今となっては悔しい。

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万葉集

庭つ鳥鶏の垂り尾の乱れ尾の
長き心も思ほえぬかも

鶏の垂れた尾の乱れ尾が長いように、気長にこらえる心も持てないことよ。

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万葉集

薦枕相枕きし子もあらばこそ
夜の更くらくも我が惜しみせめ

薦の枕を共にして寝た妻がいるのならばこそ、夜が更けてゆくことも私は惜しむだろうに。

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万葉集

玉梓の妹は玉かもあしひきの
清き山辺に撒けば散りぬる

妻は玉なのだろうか。清らかな山のあたりに撒くと、散ってしまった。

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