古典和歌stream

後撰和歌集 - よみ人しらず

常もなき夏の草葉に置く露を
命と頼む蝉のはかなさ

移ろいやすく定めのない夏の草葉に置く露を、命の綱と頼みにしている蝉のはかなさよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

八重葎茂き宿には夏虫の
声より外に訪ふ人もなし

八重葎が生い茂っている家には、夏の虫の声のほかに、訪れる人もいない。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

空蝉の声聞くからに物ぞ思ふ
我も空しき世にし住まへば

蝉の声を聞くとすぐに、もの思いがわいてくる。私もまた、むなしいこの世に住み続けているので。

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後撰和歌集 - 藤原師尹

如何せむをぐらの山の郭公
おぼつかなしと音をのみぞ鳴く

どうしたらよいのだろう。小暗い小倉山のほととぎすが、気がかりでたまらないと声をあげて鳴いてばかりいる。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

郭公暁がたの一声は
憂き世の中を過ぐすなりけり

ほととぎすの明け方のひと声は、つらい世の中をやり過ごしていく、よすがであったのだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

人知れずわがしめし野の常夏は
花咲きぬべき時ぞ来にける

人知れず私が標をして自分のものとしておいた野の常夏は、もう花が咲くにちがいない時がやって来たことだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

我が宿の垣根に植ゑし撫子は
花に咲かなむよそへつつ見む

我が家の垣根に植えた撫子は、花となって咲いてほしい。恋しい人になぞらえながら見よう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

常夏の花をだに見ばことなしに
過ぐす月日も短かりなん

せめて常夏の花だけでも見ることができたなら、何事もなく過ごす月日も短く感じられるだろう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

常夏に思ひそめては人知れぬ
心のほどは色に見えなん

常夏の花のようにいつまでも変わらずに思いはじめ、心を染めたからには、人知れぬ心の深さは、きっと色に表れるだろう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

色と言へば濃きも薄きも頼まれず
山となでしこ散る世なしやは

色というものは、濃いのも薄いのも頼みにはできない。大和撫子にしても、散る時がないことがあろうか。

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後撰和歌集 - 藤原忠平

なでしこはいづれともなくにほへども
後れて咲くはあはれなりけり

撫子の花はどれということもなく美しく咲き匂っているが、遅れて咲いたものは、ことにいとおしく思われることだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

撫子の花散りがたになりにけり
わが待つ秋ぞ近くなるらし

撫子の花が散り際になってしまった。私の待っている秋が近づいてきたらしい。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

宵ながら昼にもあらなん夏なれば
待ち暮らす間のほど無かるべく

昼であっても、宵のままであってほしいものだ。夏なのだから、待ち暮らす間の時が短くなるように。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

夏の夜の月はほどなく明けぬれば
朝の間をぞかこちよせつる

夏の夜の月は、間もなく夜が明けてしまうので、朝のひとときのせいにして恨んでいることだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

鵲の峰飛び越えて鳴き行けば
夏の夜渡る月ぞ隠るる

鵲が峰を飛び越えて鳴いていくと、夏の夜空を渡っていく月が隠れてしまう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

秋近み夏果てゆけば郭公
鳴く声かたき心地こそすれ

秋が近いので夏が終わっていくと、ほととぎすの鳴く声も聞きがたくなる気がする。

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