拾遺和歌集 - 壬生忠岑
激しく流れる早瀬の中で玉を積み集める白波は、流れる水を緒にして、その玉を貫いていることだ。
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すぐに来ようと言って別れたあの朝から、一日中あなたを思って暮らし、ひぐらしのように声をあげて泣いてばかりいる。
拾遺和歌集 - 紀貫之
杣人は宮殿を造る木材を引いているらしい。山の山彦が声を響かせているのが聞こえる。
松を渡る音は、秋の調べのように聞こえる。弦を高く締め上げて、鳥が奏でているらしい。
拾遺和歌集 - 藤原輔相
浮ついたものだと人も言い続けてきた野辺であるのに、かえってその花のあたりを通り過ぎかねることだ。
鶯の巣は揺れ動くけれども、その主の姿もない。風にまかせて、どこへ行ってしまったのだろう。
古い道で、私は迷ってしまうのだろうか。昔の野中の草は、すっかり生い茂ってしまったことだ。
住吉の岡の松笠を傘としてさしたので、雨は降っても、いや、蓑は着るまい。
白波が打ち寄せてかかる洲がいつも乾かないのに、涙に濡れる私の袂も、それに劣らないことだ。
水もなく、舟も通わないこの島に、どうして海人ならぬ尼が、なまめかしくふるまっているのだろうか。
拾遺和歌集 - 在原元方
植えて去っていった人も見ないのに、秋萩は、誰に見よというので花を咲かせたのだろうか。
山辺に住んでいると、白雲は、私にどうせよというのか、晴れる時もない。
拾遺和歌集 - 在原業平
筑紫からここまでやって来たけれども、土産もない。太刀の緒革の端だけがあることだ。
拾遺和歌集 - よみ人しらず
身を捨てて山に入ってしまった私なので、熊が私を食らおうとすることも、気にかからない。
鳥の子はまだ雛のままで巣立って去ってしまった。卵が見えるのは、孵らずに残った巣守であったのだ。
茎も葉もすっかり緑である深芹は、洗った根だけが白く見えるのだろうか。