- 表題
- -
- 拾遺和歌集
拾遺和歌集 - 中務
植ゑて見る草葉ぞ世をば知らせける
おきては消ゆる今朝の朝露
植えて眺めている草葉こそが、この世のはかなさを教えてくれたのだ。起きて見ると、置いてはすぐに消えていく今朝の朝露によって。
拾遺和歌集 - 清原元輔
憂き世にはゆき隠れなでかき曇り
ふるは思ひのほかにもあるかな
このつらい世から行き隠れることもできずに、雪が空を曇らせて降るように、心も曇らせて年を経ているのは、思いのほかのことであるよ。
拾遺和歌集 - よみ人しらず
いにしへの虎のたぐひに身を投げば
さかとばかりは問はむとぞ思ふ
昔の、飢えた虎に身を投げ与えた人の例にならって私が身を投げたならば、せめて「そうか」とだけでも問いかけてくれるだろうと思うのだ。
拾遺和歌集 - 藤原朝光
折からにいづれともなき鳥の音も
いかが定めむ時ならぬ身は
その折その折によって、どちらがまさるとも言えない鳥の声も、どうして定めることができようか。時を得ない身である私には。