古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

さ筵に幾世の秋を忍び来ぬ
今はた同じ宇治の橋姫

むしろの上で幾年の秋を耐え忍んできたことか。今ではまったく同じだ、あの宇治の橋姫と。

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金槐和歌集 - 源実朝

来ぬ人を必ず待つとなけれども
暁方になりやしぬらむ

来ない人を必ず待つというわけではないけれども、いつの間にか明け方になってしまったのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

陸奥の真野の萱原かりにだに
来ぬ人をのみ待つが苦しき

陸奥の真野の萱原の萱を刈りに来るように、仮にさえ来ない人ばかりを待つのが苦しい。

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金槐和歌集 - 源実朝

待てとしも頼めぬ人の葛の葉も
あだなる風をうらみやはせむ

待てとさえ頼みに思わせてくれない人であるから、葛の葉が気まぐれな風に裏を見せるように、恨んだりはしようか、いやしない。

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金槐和歌集 - 源実朝

忍ぶれば苦しきものを山の端に
さし出づる月の影に見えなむ

こらえて隠していると苦しいので、山の端に差し出る月の光のように、はっきりとあの人に見えてしまいたい。

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金槐和歌集 - 源実朝

恨みわび待たじと思ふ夕べだに
なほ山の端に月は出でにけり

恨み疲れて、もう待つまいと思う夕べでさえ、やはり山の端に月は出てきたことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

待てとしも頼めぬ山も月は出でぬ
言ひしばかりの夕暮の空

待てとさえ約束しない山にも月は出た。あの人が来ると言っただけの夕暮れの空に。

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金槐和歌集 - 源実朝

わが袖に覚えず月ぞ宿りける
問ふ人あらばいかが答へむ

私の袖に、思いがけず月が宿っていたことだ。もし尋ねる人がいたら、どう答えたらよいだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

数ならぬ身はうき雲のよそながら
あはれとぞ思ふ秋の夜の月

数にも入らない私の身は、浮雲のように遠く離れたままではあるが、しみじみと心ひかれる、秋の夜の月に。

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金槐和歌集 - 源実朝

月影もさやには見えずかき暗す
心の闇の晴れしやらねば

月の光もはっきりとは見えない。すっかり暗くする心の闇が晴れきらないので。

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金槐和歌集 - 源実朝

白雲の消えは消えなで何しかも
たつたの山の名のみ立つらむ

白雲が消えるなら消えてしまえばよいのに消えないで、どうして立田の山の名のように、浮き名ばかりが立つのだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

あだし野の葛のうら吹く秋風の
目にし見えねば知る人もなし

あだし野の葛の葉の裏を吹く秋風が目には見えないように、私の恋の恨みも目に見えないので、知る人もない。

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金槐和歌集 - 源実朝

唐衣裾合はぬつまに吹く風の
目にこそ見えね身には染みけり

唐衣の裾の合わない褄に吹き込む風が目には見えないが身にしみるように、逢わない人へのつらさは目には見えないが身にしみることだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

時鳥鳴くや五月のさつき雨の
晴れず物思ふ頃にもあるかな

ほととぎすの鳴く五月の五月雨が晴れないように、心晴れずに物思いをするこのごろであるなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

時鳥鳴くや五月の卯の花の
うきことの葉のしげきころかな

ほととぎすの鳴く五月の卯の花のように、つらい言葉ばかりが多いこのごろだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

郭公待つ夜ながらの五月雨に
しげきあやめのねにぞ鳴くなる

ほととぎすを待つ夜のままに降る五月雨の中で、茂るあやめの根のように、声をあげて泣いているようだ。

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